Uruk-Hai:In the Side of Eternal Eclipse


スペイン産、プリミティブ・ブラックメタル、2001年EP。5曲13分強。
Battlefield Recordsより500枚限定でリリースされた。
Nazgulのギターとドラムが参加している。
オーストリアに同名の、全部揃えたら願いが叶うと伝えられているドラゴンボールアンビエントブラックメタルがいるが、別バンドなので注意。


【荒々しいブラスト疾走に乗せて荘厳かつ寒々しくメロウなトレモロと邪悪なガナリヴォーカルが炸裂する王道UGプリミティブ!】


そこそこに緩急をつけつつ、ガシャシャシャドタタタバコココと手数足数多くせわしないブラストを叩きつける荒々しくRawなドラム、寒々しくヒステリックでありながらメロウなトレモロ、凍てつくような北欧的荘厳リフを掻き鳴らすチリチリシャーシャーとノイジーに歪んだプリミティブなギター、憂いに濡れたアコギのアルペジオ、怨念染みた死霊の断末魔が如くグエエエギエエエエと邪悪にガナるガリガリに醜く歪んだオブスキュアなヴォーカルが絡む。


ジャケやタイトルがいかにもGravelandを彷彿とさせるが、いわゆるDarkthrone三部作フォロワーに位置づけられるであろう、寒々しくメロウでノイジーな疾走プリミティブ。
かなり真っ正直なプリミティブ・ブラックだが、オールドスクール感は希薄で、よりブラックメタル然りとした音像。
とにもかくにも炸裂感と疾走感を爆散させながら何かに取り憑かれたかのように駆けずるドラムの鬼気迫る荒々しさや、北欧ブラック的荘厳さ・邪悪さとブリザード感を撒き散らしつつもしっかりと哀愁を帯びたメロウなギターリフや絶妙のアコギ使いにNazgulの面影が感じられる。
Nazgulのようなペイガン的勇壮さや悲愴感は微かにその香りを残しつつも控えめで、よりオーソドックスなブラックメタル路線ではあるが、やはりガリガリと殺気だったプリミティブサウンドの中で身悶えるような哀愁に満ちたメロディセンスがキラリと光っており、実にかっこ良し。
マニア心をくすぐる適度にラフかつタイトな音質、地下室染みた雰囲気、常人なら一瞬で喉を潰しそうなほど歪んだ邪悪極まりないガナリヴォーカルと、どこまでもブラックメタルのツボを心得ていると言える。


というわけで、これといって特異点はないが、迫真のメロディセンスと荒々しい疾走感が冴えた実に高レベルな王道プリミティブの良作。
5曲中#1[Intro]#5[Outro]はペイガン臭漂う物寂しげなアコギによるイントロ、アウトロであるため、ブラックメタル曲は実質3曲のみでボリューム的には物足りないが、それを補って余りあるほどに3曲とも素晴らしく、コンパクトにまとまっている分アルバムよりこちらを聴くことの方が多いほど。(ちなみに#1Nazgul1stのラストにボーナスとして収録されていた)
自分がトップクラスに好きなプリミティブ・ブラックメタルであるNazgulの関連バンドということで買ってみたが、全く期待を裏切らないかっこよさに大変満足している次第。
Nazgulが好きな人はもちろん、寒々しくメロウでノイジーなユーロUGプリミティブが好きならきっと楽しめるであろう、広くオススメできる一枚。


【お気に入り】
#2[El Monte De Las Animas]:文句のつけようが無い。
【オフィシャルサイト】
http://urukhailegions.blogspot.com/
MySpace
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