Eisenwinter:[Monumentales Scheitern]


前作に引き続き「婆さん誰やねん」と言いたくなるジャケがシュールなスイス産、1994年結成の独りNSプリミティブ・ブラックメタル、2010年2nd。8曲27分弱。
自主製作なのかな?おそらくテープとLPのみのリリース。僕が入手したのはテープ音源。


Satanic Warmaster系の荒涼感・憂いに満ちたメロウさと、初期Absurdに通ずる軍歌/青空パンク染みた青臭い爽やかさをハイブリッドして、劣悪極まりない音質でRawかつパンキッシュにポンコツ疾走する極右メロウ・プリミティブ!!】


シャンシャンと喧しくシンバルを叩きツタツタドコドコと時々つっかえながらもノリノリに2ビート疾走するパンキッシュかつポンコツ極まりないRawドラム、ギャリギャリシャーシャーと耳を劈く薄っぺらく金属質の強いノイジーギターが掻き鳴らす、寒々しく鬼メロウ、かつ恥ずかしいほどに青臭い爽やかさを撒き散らす哀愁ジャジャ漏れ激クサ・トレモロ、グエグエとエグく汚らしい濁声でヘロヘロの酩酊感を醸し出しながら熱に浮かされたようにガナリ吐き捨てるヴォーカル等が絡む。


以前紹介した2007年1stがリリースされた時は既に解散していたように記憶しているが、どうやら現在は復活しているようだ。
耳に痛いチープで劣悪極悪な音質、徹底的にパンキッシュに疾走するヘッポコドラム、メロウかつ爽やか極まりない哀愁トレモロのひたすらなリフレイン、エグいヴォーカルと、前作同様の作風。
なんといっても尋常じゃない哀愁を発しているトレモロが素晴らしいことこの上なく、胸が苦しくなるほどメロウであるにもかかわらず、雲ひとつない青空が如き爽快な明るさと魂を鼓舞するような漢臭い熱気に、頬の筋肉が脳を介さずとも脊髄反射でニヤケまくってしまう!
本作は1stに輪をかけて青臭さが増しており、ここまで来るとギターのフレーズそのものはもはやパンクと言ってしまえそうなほどのキャッチーさ。
さらにこれでもかと粗くラフな音質・しょっちゅうリズムがモタりズレるギリギリの演奏、ひたすら哀愁トレモロをリフレインしながらのノリノリかつポンコツな疾走感が、その手のフェチのツボをドツキまくると来たもんだ!
またヴォーカルが演奏と全然合ってないのに気持ちよさそうにガナってる(笑)のがソソる。
Shane MacGowan and the Popesなるアーティストのカバーらしいパンク色の強い一曲#7[Call me NS Black Metal]のズレっぷりとか、たまらないものがある。
こんなんもう自分のちっぽけな理性が抗えようはずもない!
これをせずして一体何を悶絶というのか!というくらいに悶絶しまくって楽しめる。


というわけで、テープが聴けるようになったので満を持して購入したが、結果として今年聴いたプリミティブ・ブラックメタルの中でも突き抜けてハートキャッチされてしまった次第。
劣悪音質の地下室プリミティブにして凶悪なほどにメロディアス。
胸をわしづかみにするフレーズを反復し、シンプルかつストレートに展開する短めの楽曲でサクサクと聴き進められる点も実に爽快。
前作が好きならばもちろん、Satanic WarmasterGoatmoonAryan Artといったメロウ・プリミティブ、初期Absurdのパンキッシュな軍歌調プリミティブ、Black Mistのようなメロウなポンコツ・ブラックが好きであれば絶対にオススメできる一枚、もとい一本。
これはどう考えてもCD化すべきでしょう!!


【お気に入り】
#5[Im Gehorsam gegen Gott die Eliminierung an anderen Leibern vollziehen]:このメロディはヤバい。