Aryan Blood：[Through Struggle To Victory]

ドイツ産、1998年結成のNSブラックメタル、2010年コンピレーションアルバム。13曲41分弱。
1996年〜2003年にリリースされた、Satanic Warmaster、Eisenwinter、Capricornus、Evilそれぞれとのスプリット、およびデモ音源をまとめてTotenkopf Propagandaがリリース。

【荒涼としたメロウさと爽やかとすら言えるほどの青臭さ・ヤケクソな熱気がポンコツな疾走感に乗っかるガッツポーズ系NSプリミティブの大傑作！！】

ドッタンバッタンポンコツミッドテンポからドチドチツッタカツッタカと小気味よいノリノリ疾走を絡めつつ、ガシャガシャバコバコと粗っぽいブラストで突っ走るRawなドラム、チリチリガリガリシャーシャーとロウファイなギターが掻き鳴らす、Satanic Warmaster、Vlad Tepesなどの荒涼としたメロウさと、Absurdにも通ずる軍歌／青春パンク的青臭さ・勇ましい熱気を持った哀愁爆発トレモロ、ロックンロール／パンキッシュな古臭くも心躍るリフ、オールドスクールな荒くれ感のあるリフ・ベース、ギャァギャァキョエーーーと凄まじい狂気を振りまき声をひっくり返しながらひたすらヤケクソに喚き散らす白目ひん剥いた高音ガナリ絶叫が絡む。

B級ペイガンメタルのような、ファンタジックなサウンドスケープが広がるチープなシンセで幕を開ける極上NSプリミティブ。
Satanic WarmasterやVlad Tepesのようなメロウプリミティブをベースとしつつ、寒々しさや邪悪さに加えて、そのメロディからは初期Absurd的な熱く青臭い男気溢れるメロディが強く感じられ、あたかもドリルで琴線を破壊するが如く哀愁ダダ漏れメロディを伴ってやぶれれかぶれかつポンコツに疾走しまくる様が異様なほどにかっこ良いことこの上ない。
時に明るく爽やかとすら言える程にキャッチーなリフやソロ（#4[Unsere Fahne]や#11[Eternal Strife]など）が炸裂してくるあたりは、もう堪らないものがある。
またなりふりかまわずヤケクソに喚き散らし壮絶な絶叫を張り上げまくるヴォーカルのブチ切れたテンションも圧倒的であり、これがまた猛烈にカッコ良い。
コンピレーションということで音質はまちまちだが、適度に粗く汚く籠って生々しいラフな音であり、この辺もツボ。

#4はGlittertindのような、頭のネジぶっ飛んで爽快な青空パンクチューンとなっており、恥ずかしいほどに悶絶。
#8[Aryan Supremacy]ではモロにVlad Tepesの[Walachian Tyrant]そっくりのリフがブリブリ飛び出したりして思わずニヤリとさせられる。
一曲一曲が素敵かつコンパクトにまとまっていてサクサクと聴き進められる点も実に心地よい。

というわけでアルバム一枚通して悶絶しっぱなしヘドバンしまくりのサイコーかっこいい一枚。
メロウなメロディ、ポンコツかつノリノリの疾走感、生々しくラフな音質、狂気のヴォーカル。
卑怯なまでにプリミティブブラックのツボを突きつつ、Absurd的NS感で更に熱血要素を加味した音楽性は無敵クラスの破壊力。
Satanic Warmaster、Vlad Tepes、Eisenwinter、Goatmoon、Evilといったバンドが好みのポンコツメロウフェチであれば、まるで運命の女性に巡り合えたが如き天にも昇る興奮を覚えること必至。
素晴らしく素晴らしいポンコツメロウプリミティブ珠玉の一枚！！

【お気に入り】
#2[Strength, Pride, Nobility]：もう！抱いて！
【レーベルサイト】
http://www.thepaganfront.com/totenkopfpropaganda/