The Pains Of Being Pure At Heart:[The Pains Of Being Pure At Heart]


NY出身、【懐メロ系】ネオシューゲイザー/インディポップ4人組、2009年1st。10曲35分弱。
数年前からエレクトロニカ方面でシューゲイザーが再評価され始めたのを皮切りに、インディロックシーンにおいて俗にネオ・シューゲイザー、ニューゲイザーなどと呼ばれる新人バンドが続々と登場しており、シューゲイザーはいまやリバイバルブームとも呼ぶべき盛り上がりを見せています。
そんな中、昨年かなり話題になっていたのがこのバンド。
ずっと気になっていたんですが、今年に入ってようやく入手できました。
Rideの蒼い爽快感、Pale SaintsSlowdiveの耽美な甘さ、My Bloody Valentineの轟音サイケデリアなど、クラシック・シューゲイザーの魅力を合算し、かつあの世代独特の虚無感を取っ払って、いわゆる「懐メロ」のようなポップなメロディセンスで仕上げたような、奇を衒わず真っ正面からぶつかってくる甘じょっぱく切ないシューゲイザーが堪能できる


ハツラツと若々しくリズムを叩きだす軽快なドラムポップでキャッチーなメロディの骨格を奏でるベースジャンジャカジャンジャカと甘酸っぱく爽やかに掻き鳴らされる純朴でノスタルジックなアコギおよび重厚なディストーションギター、ギャリギャリシャリシャリと快楽中枢を刺激するファズたっぷりのギターノイズシャワーなどが晴れ渡る青空のような爽快な疾走シューゲイザーを構築し、サイケデリックに響き渡るフィードバックノイズ、ドリーミーでセンチメンタルなメロディを奏でる甘美なクリーンギターがここぞとばかりに陶酔と感動の渦を喚起し、眠たげな少年のような甘ったるい声色のヴォーカルが淡く瑞々しいメロディを舌っ足らずに歌い上げる
ゆったりと動く浮雲の映える澄み渡った青空、心地よい風に揺られる一面の草原、夏休みの宿題で作った飛行機模型を手に持ち、空が真っ赤に染まるまで駆けまわる。
ひたすら爽やかで甘酸っぱく、どこまでも明るく幸福感に満ちているのに、妙に琴線に触れまくるノスタルジーがキツく胸を締め付ける。
「ピュアであることの痛み」とはすなわち「ピュアであり続けることは不可能だと自覚する痛み」なわけです。
目に映るものすべてが輝いていた、毎日が楽しかったあの頃を懐古し、心地よい郷愁と感傷に浸る、幸せな今。
根底にあるのが幸福であるからこそ、切ないノスタルジーが一層胸に突き刺さります。
温かな春の朝、目が覚めてから起きるまで布団の中でぬくぬくとまどろんでいるような声色のヴォーカルが、少年のようなピュアさを感じさせてくれるのがまたたまりませんね。可愛らしげな女声コーラスもグッときます。


というわけで、聞き終わった後、満ち足りた気持ちになれる最高の一枚。
シューゲイザーの例にもれず、音のレイヤーの重ね合わせがやはりうまく、さらにメロディが旧き良きJ-POPを思わせるほどにポップであり、とくに歌メロがふわふわとたゆたうようなものでなく、シューゲイザーにしてはかなりしっかりしているのが特徴的。
どの曲も実に素晴らしいツブ揃いですが、その中でもお気に入りは、鮮烈とも言えるほどインパクトのある疾走曲#2[Come Saturday]、なんともいえないレトロな懐かしさが込み上げる#3[Young Adult Friction]、シンセも用いて淡く儚い切なさが強調された#6[Stay Alive]、昂揚感のあるアップテンポと甘じょっぱいサビメロ、そして歓喜のギターソロと心揺さぶられる#7[Everything with You]Ride好き狙い撃ちな爽やかさの#9[Hey Paul]あたり。
とにかくツボ中のツボであり、購入してから2カ月ほど経ちますが、マジでヘビロテしまくってます。
前述したような王道シューゲを気に入った方はもちろん、またメロディのポップさが故に訴求層はかなり広いと思われるので、ぜひ多くの方に聴いていただきたい作品です。
おすすめ!!


・Myspace:ちなみに、僕が買ったのは輸入盤ですが、国内盤には2曲ボーナストラックが収録されていますので、購入するならそちらの方が良いかも。