Nehëmah:[Shadows From the Past...]


フランス産、真性カルトプリミティブブラックメタル、2003年2nd
の、Adipocere Recordsからの2009年再発盤。オリジナル盤に収録されていたBathoryのカバー曲を削っての8曲48分半。
ネットでの評判など見ていると、この2nd1st3rdに比べて地味目という評価を受けいているようだが、どっこいこのアルバムもブラックメタルの真髄を感じることができる、十分過ぎるほどに素晴らしい作品となっている。


おどろおどろしいスロー〜ミドル/ドガドガズドドドと荒々しく突進する暴虐のブラストの二軸を絶妙に絡めながらジリジリと薄っぺらく歪み輪郭の潰れたプリミティブなギターが殺伐とした荒涼感を撒き散らす邪悪なリフ/スラッシーなオールドスクールリフを切り刻み、荘厳な響きのギターが神秘的でうっすらとメロウなトレモロ/リフ、および狂気に駆られたヒステリックな高音トレモロなどを掻き鳴らし、悪意の権化が如き邪悪さが最高に痺れるワレワレのガナリヴォーカルが極悪に怨念を絞り出す
前作同様の初期ノルウェイジャンブラックヒャッハーなスタイル。
良くDarkthrone直系と表現されるわけだが、実際にはまんまDarkthroneかというとそうでもなく、冷たく凍てついたアトモスフェリックな荘厳シンセがファ〜ファ〜と被さるシーンは初期Emperorを彷彿とさせ、実際#1などではギタメロも含めEmperorっぽい暗黒美学が感じられる。
また、全体的にBurzumMayhemに通ずる悲愴な叙情も前作以上に感じられ、やはりどちらかと言うと初期ノルウェイジャン直系プリミティブと評すべき音楽性
前作に比べ展開がより豊富となり、ストイックな攻撃性よりも緊張感漂うメロディアスさに重心が傾いたように感じる。甘くはないが実にいい塩梅で真黒くメロディアスであり、ミスティックな湿り気を帯びたアコギも非常に効果的に用いられている。
加えて音質が多少すっきりして籠り感が薄くなり、結果として地下室的カルト感や閉塞感は弱まったが、ジリジリと薄っぺらなギター・闇黒を礼讃する荘厳ギターと図太く響くドラム&ベースの構築する、初期ノルウェー独特の空気感の再現性はさすがと言うほかない
そしてNocturno CultLegion(ex-Mardukを思わせるガリガリの邪悪ガナリもこのバンドの大きな魅力の一つ。時に悪魔の笑みをたたえながらジットリと、時になりふり構わず憤怒に任せてギエエエエエエエと壮絶に絶叫する様は最っ高にEvilでかっこよし。#7とか超痺れる。


というわけで、前作同様ブラックメタラー必聴の一枚。う〜ん、さすがの貫録。
個人的には1stよりこちらのほうが好みかもしれない。
#1の緊迫感あふれる荘厳メロを伴った爆走や、#4後半・#7緊張感あるトレモロと怒涛のブラストで悪魔に取り憑かれたかのように爆走する展開がめちゃくちゃかっこいい!!
また#3の4分半過ぎからのあまりにもあざとくDarkthroneな展開(にそっくりw)には思わずニヤリとさせられる。
とにかく、ブラックメタルの核心をついた、初期ノルウェーの寒々しさが体感できる素晴らしい作品なので、未聴の方は再発が手に入るうちに迷わずゲット推奨!!
後から泣くことのないように!!


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