Occulta:[Black Hordes Unleashed]


フランス産、Quintessenceの前身、激情シンフォニック/メロディックブラックメタルOccultaの2007年自主製作デモ。4曲20分強。
どうやら200枚限定のようだ。
フレンチらしい憂鬱感はQuintessenceと同様だが、あちらとは多少趣が異なり、デモらしいマニア好みな音質とクッサいギタメロ、大仰シンフォニックな味わいが堪能できる通好みなB級シンフォブラックとなっている


ミドルテンポとブラストを巧みに織り交ぜながらドラスティックに展開するマシンドラムに乗せて、チープに歪められたチリチリノイジーギターがズンズンザクザクスラッシーな刻みリフを絡めながらも、凄まじい哀愁を放っているメランコリック極まりないクサトレモロを掻き鳴らしまくりうっすらファンタジックな魅惑のシンセが深遠で壮麗な雰囲気を醸し出しねちっこいガナリヴォーカルがギエエエと醜く叫ぶ
Quintessenceに比べミドルテンポで憂鬱に進行する展開が多く、またFollowbaneを地味にしたような(あそこまでのやり過ぎ感は全くない)美しく幻想的なシンフォニックKeyが全編にわたって鳴り響いていること、ヴォーカルに仄かだが泣きの色が滲んでいることなどから、フランス的儚くも切ない湿った叙情に加え、ゴシカルで頽廃的な美麗感をも感じさせる。琴線に触れまくるクッサクサなギタメロも幾分ファンタジック系メロデス寄りか。
さらにプリミティブな嗜好をくすぐる、程よく籠りがちでチープなプロダクションも相まって、これがまた何とも言えない実に素晴らしく憂鬱なアトモスフィアが実現されている
ヴォーカルはQuintessenceと同一人物であるがスタイルが異なり、喉に無理をかけてそうな生々しくねちっこいガナリ声。ハッキリ言ってQuintessenceよりこちらの方が完全に僕好み。絶叫するシーンなど非常にかっこいい。


というわけで、Quintessenceのようなファストかつハイテンションに攻めるストレートなメロブラを期待して聴くと発展途上と言わざるを得ない内容ではあるが、クサメロブラックとしては十分の出来栄え。
あくまでメロメロなギターが主旋律を担い、Keyはうっすらと被さるのみという按配が実にナイス。
メロディがクサいことをやたらと強調しているが、ブラックメタルらしいピンと張った緊張感は堅持しているので、なんちゃってメロデスに陥っているということは全くない。
とにかく楽曲から滲み出る憂鬱感と哀愁がたまらず、個人的にはQuintessenceより重宝しそうだ。
やり過ぎでない程度にクサシンフォな作風、とくに垢ぬけてないB級臭さに目がないというスキモノな方ならば結構楽しめるんではないでしょうか。
Quintessenceを買うならこちらもセットでどうぞ。


・Myspace(Quintessence)