Absolute of Malignity:[Absolute of Malignity]
正体不明の国産カルトプリミティブブラックメタル、2008年1st。6曲45分弱。
ジャケがフランスのVermethの1stと同じ絵ですね。なんか有名な絵なんでしょうか。
高品質なDeathspell Omegaフォロワーを多数輩出し、かのArkha SvaのデモテープもリリースしているSatanic Propagandaからのリリースということからもわかるとおり、カルトなイメージの徹底された地下室系サタニックプリミティブとなっている。
ドチドチと小気味良いミドル〜ファストを挟みながらドドドドと無慈悲かつ淡々とブラストするマシンドラムの上で、チリチリシャリシャリ耳障りに歪められ荘厳に重ねられたギターが、MutiilationやAshなんちゃらに通ずる精神を逆撫でするような不穏さ・不気味さと、3rd以降のDeathspell Omegaを思わせる邪悪な荘厳さを孕んだ真黒暗黒リフ・神経質トレモロを掻き鳴らし、モコモコ響くベースが不快な圧迫感・閉塞感を作り出し、そこに鬼気迫る凄味を感じさせる喚き気味ガナリヴォーカルが凄絶に狂気を張り上げる。
宗教色の強い雰囲気といい破壊的な暴虐性といいドスの利いた多少薄くはあるが凄味のある音質といい、音質から内容までDeathspell Omega3rd、Funeral Mist1stなどを強く想起させる、怪しげな瘴気をまとったカルト色濃厚なプリミティブスタイル。
なんといっても荘厳かつ不気味でオカルティックな雰囲気作りが素晴らしく、また地獄で高速摺り卸しミンチの刑にかけられているかのような凶悪さ・暴虐性を備えた緊張感溢れるリフによる暗黒シンフォニーはいっとう邪悪でありながら程よくメロディアスであり、楽曲自体も終始ハイテンションかつメリハリがあって聴きやすいなど、極めて完成度が高い。
またCarpathian Forestの1st冒頭を意識してそうなポルノ〜な女性の嬌声SEやAshなんちゃらのような嗚咽が挿入されたりもする。
さらにヴォーカルもかなり真に迫るものがある。GorgorothのGaahlのような、カミソリじみた狂った絶叫を徹頭徹尾張り上げており、イーヴィル極まりない。
というわけで、国産だからといってナメて掛かると返り討ちにあって地獄の劫火に叩っ込まれること必至の、気合入りまくり真性カルトプリミティブの名盤。
Arkha Svaほどの派手さや話題性に欠けるためあまり話題に上がらないバンドのように感じらますが、少なくとも客観的に見た質の高さはArkha Svaに比肩するレベルだと思います。
前述したようにDeathspell OmegaやFuneral Mist、Mutiilationあたりの不穏なプリミティブが好きな方ならきっと楽しめると思うので、未聴の方はぜひゲットしてみてください。