Coaltar of the Deepers:[The Visitors from Deepspace]


天才NARASAKI率いる日本産シューゲイザーメタル、1994年1st
初期Deepersを代表する音源ということで、以前紹介したベスト盤に勝るとも劣らない名曲揃いの傑作。
今から数えて15年前の作品とはとても思えない斬新さと爆発的なエネルギーと若き衝動を感じさせる革新的内容。


ゴリゴリのデス/スラッシュメタルで幕を開け、強烈なカオティックノイズの嵐で締めくくられる今作も、デス、スラッシュ、サンバ、ボサノバ、ノイズ、ハードコア等多様なジャンルの要素を巧妙かつ絶妙に散りばめた唯一無二のDeepersサウンド
ザクザクと切り込むメタリックな切れ味・重厚感とシューゲイズな陶酔感とを持ち合わせたノイジー・轟音ギターで狂喜乱舞して攻め立てるかと思えば、美しく流麗なクリーントーン/アコギで儚く幻想的なメロディを奏でたりしっとりオサレにムーディな旋律を奏でたり、かと思えばクールにソロを決めたりと、千変万化の表情を見せるギターによるキャッチーなリフ・メロディの数々を爆発的なエネルギーで発散するRideをオーバーブーストさせたかのような驚異的な青空的爽快感・青春的疾走感がこの上なく気持ち良い爆裂シューゲイザーメタル
Deepersの魅力はやはり何と言っても、ギターリフの強烈に鮮烈なインパクトと、内から込み上げてくる抑えきれない衝動に衝き動かされた勢い任せの疾走感
リフ自体もそうだが、琴線をくすぐる繊細な音色やヘヴィに轟くディストーション、フィードバックノイズのシャワーなどシューゲ好きにはたまらないギターエフェクトの数々に酔いしれてしまう。
そしてお得意の高速ハイハットをはじめとした軽快なドラミングによる、焦燥感に駆られた前のめりなノリノリの疾走感にはわけもわからずに走りだしたくなる
楽曲の輪郭をくっきりと描き出しながら自らもメロディを奏でる自己主張の強いベースもいい仕事をしている。


NARASAKIの、純真無垢な少年のような淡く繊細なヴォーカルも素晴らしい。尖った音楽性に柔らかなみずみずしさを加える良い清涼剤となっている。
ところがどっこい、#1#8で披露されているデスヴォイスや狂乱発狂スクリームの獰猛なこと。とても同一人物とは思えない。所々で聞かれるシャウトなども心地よく、楽曲の魅力を的確に引き立てている。


というわけで、轟音ギターに溺れる恍惚感と鮮烈なカタルシスを体感できる、攻撃的シューゲイザーの名盤
ベスト盤以上に衝動的な曲の比率が高く、やりたい放題にはっちゃけまくってんなぁ、楽しそうだなぁという印象。Rideがスラッシュやっているようなスピーディな楽曲が中心だが、#6[Snow]My Bloody ValentineSlowdiveのような強烈なディストーションと深い残響音のなかでたゆたうような幻想的な曲となっている。
全8曲34分一切捨て曲がなく、どの曲も常に新鮮な感動を覚えながら聴き通すことができる。
とくにベストにも収録されていた#2[Amethyst]#7[Blink]はまさにDeepersかくあるべしという感じの、蒼きフラストレーションを爆発させたかのようなズバ抜けて爽快なサイッコーの疾走曲#7のノイズシャワーに失禁。#5[Summer Days]も、バカ中学生の夏休みという感じでテンションあがりまくり。
前回紹介したベスト盤も衝撃的だったが、このアルバムを聴いてますますDeepersの虜になってしまった。
シューゲイザーが好きな人は黙って必聴、シューゲに興味のないメタラーさんにもきっと何らかの感動を与えてくれると思うんで、ぜひ多くの方に聴いていただきたい。
爆盛りオススメ!!


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