Menosgada:[Mitsommer]
フィンランドと肩を並べるヴァイキング大国、Deuchenlandからまたも期待の新人が登場。
誇り高いギターが剣を振るい、アコーディオンが乱舞する、フォーキッシュ・ヴァイキングメタル、2007年自主制作1stデモCD-R。
およそヴァイキングと呼ばれる様々なスタイルを網羅しているかのようなヴァラエティに富む素晴らしいメロディの応酬に驚愕すら覚える6曲25分。
ア〜イディリーーーーーーック!!!(idyllic:牧歌的)
初期Ensiferum、XIV Dark Centuries2ndを彷彿とさせる民謡をアレンジしたヒロイックギタメロと、シンフォニックKey、素朴純朴極まりないアコーディオンと七色のKeyをのせて軽快に疾走するメロデススタイルのヴァイキングメタル。いかにもEnsiferumが使いそうなアコギなんかもふんだんに絡めてくる。感触としてはEquilibrium、Thiasos Dionysos、Gwydionなんかに近いかな。
なんといっても耳を惹くのがアコーディオン。
これまでにも、Finntrollをはじめ、Gwydion、Kalevalaなど、殺傷力抜群のアコーディオンに特化したバンドはいましたが、それでも史上これほどまでに平和で優しいメロディを奏でるデスメタルが存在しただろうか・・・!!その雰囲気は「NHKみんなの歌」。牧歌を超越してもはやメルヘンの域。おとぎの国です。
フガフガ跳ねるポルカリズムの舞踏メロから郷愁の念を掻き立てるどこか懐かしい哀愁メロまで、核弾頭数百発脳髄にぶち込まれたような破壊力。初聴時は思わずニヤけ顔になってしまうほどの恥ずかしさ。
加えて、かなり様々なKeyの音色の結構豪華なオーケストレーションは同郷のThrudvangarを思わせ、これも好印象。
また、一点の曇りもなく明るいフォルクローレなメロディ、力強く勇壮なメディーヴァルメロ、むせび泣く漢の哀愁メロなど、王道ド真ん中を恥ずかしげもなく貫くヴァイキングギターも素晴らしいの一言。わかりやす過ぎるくらいキャッチーな熱血ガッツポーズ系メロの数々には脱帽。
アコーディオンのインパクトが強烈過ぎるとはいえ、楽曲はあくまでギター主導で進んでいくため、アコギも含め初期Ensiferum系のギターが好きならもんどりうって悶絶してもまだお釣りがくるレベル。
ときにMithotynのような悲壮感も滲ませ、ひたすら勇ましく邁進する極致のヒロイックメロに多くのヴァイキンガーは心を鷲掴みにされることと思う。
ヴォーカルは喚きデスとグロウルの2軸。この手のジャンルとしては特筆すべき点はないが平均以上のヴォーカル。雄々しい雄たけびなども使い、普通にカッコイイです。
どの曲も非の打ちどころがない悶絶曲ばかりだが、やはりベストチューンは#3[Vinland]。このバンドの持つすべての魅力が凝縮された、一級バンドたちの勝負曲に勝るとも劣らない超名曲。重々しく幕を明け、笛と一緒に畳みかける展開にまず悶絶。そしてサビの、ウサギやクマやキツネなど森の仲間たちが輪になって踊っているようなアコーディオンのメルヘン輪舞メロディの凄まじい殺傷力はかなりの衝撃。これはヤバい。バカになる。その後の断崖絶壁からはるかかなたの魔王城を見据える勇者様御一行みたいな泣き要素の哀愁ギタメロも非常に切ない。このメルヘンととシリアスのギャップはどうだ(笑)
#5[Das Horn]の故郷を思わずにはいられない、突き抜けて明るいのに切ないエンディング系のメロディも琴線に触れまくり胸が苦しくなるほど心に響く。後半のハモリのギタメロも素晴らしい。
というわけで、これがデビューデモとはとても思えない鬼クオリティのフォーキッシュヴァイキング。
やはり自主制作故のチープさは否めないが、そんなんどうでも良くなるくらい中身が濃い。デモの少なめのヴォリュームを忘れてしまうくらい超濃密でオリジナリティも十分。
このバンドを聴いて熱くならない民謡ヴァイキンガーなど存在しないんじゃないかというくらい、様々なタイプの悶絶クサメロディをもってして容赦なく殺しにかかってくる。
Spinefarmあたりと契約できれば、マジで今後第一線に躍り出てシーンをひっかき回すだけの力をすでに持っている恐るべきバンド。
オフィシャルサイトの更新が2007年で止まっているため、今活動がどうなっているかわからないけど、ぜひ頑張ってほしい超期待のバンドです。
もちろん全ヴァイキンガーにオススメ!!
・オフィシャルサイト
・Myspace:#3[Vinland]聴いてほしいのに。