Brocken Moon:「Mondfinsternis」


ドイツの悲哀アトモスフェリック/ディプレッシヴ・ブラックメタル、2005年1st。2005年のデモ音源3枚をまとめてのリリース。
ヴォーカルは噂のAaskereiaGrim
これがまたとんでもなく悲しみと憂いに満ち溢れたプリ気味アトモスフェリック・ブラックメタルで、もうこれでもかってくらい物悲しいトレモロ&リフ、寂しげなアコギを除情味たっぷりに響かせる実にすばらしい内容


とにかくメロディの泣きっぷりや悲壮感がハンパではなく、全編にわたって胸が苦しくなるほどに研ぎ澄まされた沈鬱悲哀メロがダダ漏れとなっている
エモーショナルな響きのもっさりギターとしっぽり湿り気を帯びた儚げなアコギの絡み合いが絶品。
また、曲によってアンビエントっぽいKey(#4)やMenhir系爽やかKey(#5)なども被さる。
そしてそこにSterbendさらに感情的にしたかのような悲痛な金切り泣き絶叫が乗っかってくる。
そうした、いわゆる鬱系といわれる音楽性だが、概してそれらの肝である陰鬱なドンヨリジメジメ感はほとんどなくひどく悲しげでありながら泣き明かしたあとのようなある種の爽やかさ?が感じられ、非常にすっきりとした喉越しで鬱に浸れる
悲しみを突き詰めて鬱系に肉薄するに至ったメロウ・プリミティブとでも言えばいいだろうか。NargarothRasluka I & IIのようなトレモロも見受けられる(#2#3)。
#4などリフレイン系の曲もあるにはあるが、アトモスフェリックといってもあまり単調ではなく、むしろかなり静と動のメリハリが付いており、アコースティック/横ノリパートでたっぷりとタメた後にツタツタ2ビート/ブラスト爆走をしたりとドラマチックに展開していくため、メロディの破壊力が増幅され非常に煽情力が高い


ヴォーカルは先ほども述べたとおり「ヒョー!!(゚Д゚)」「キョー!!(゚Д゚)」って感じの泣き喚き系金切り絶叫と掠れ気味のねちっこい中音ガナリデスを巧みに使い分けている。この楽曲にはこれっきゃないってくらいベストマッチ。泣かせるステキ☆ヴォイス。
またこれがミソでもあるのだが、朗々としたクリーンボイス(Menhir似)が頻繁に用いられている。このヲ〜ヲ〜テノールボイスとアコギ・ギターのモッサリした哀愁っぷりの相乗効果によりうっすらペイガンっぽくも感じられるあたりが個人的嗜好ど真ん中。


音質はプリっとしたラフさとアコースティックなしっとり具合がいい感じにブレンドされた高品質なもの。ジリジリブリブリと歪んだ音からクリアな音まで非常にバランスが良い。


というわけで、フランス系とはまたちがった趣の、感傷的なプリミティブ・ブラックメタルの名作。
メランコリックとはなんぞやということををこれでもかと体現している。
SterbendDrowning th Lightといった鬱アトモスフェリック系や、NargarothRaslukaシリーズ、アコギ入りの悲しげなブラックメタルが好きならもんどりうって悶絶すること必至だ。
全ブラックメタラーマスト!!と言ってしまいたいアルバム。
ちょっとでも興味の湧いた人は是が非でも聴いていただきたい、当ブログとしては最上級にオススメの一枚。


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2ndも買ったがまだ未聴。