Tjolgtjar:「Five Tjolgtjarian Keys」


さまざまな変態バンドに参加している生粋の変態Reverend JR Prestonによる一人メリケン電波系ブラックメタルちょるぐちゃー!!セルフリリースの2002年作「Nuun Raaguun Skuulkuun」と2003年作「The Five Tjolgtjarian Keys and the Gate to Vruguun」にカバー一曲追加した2006年1000枚限定コンピレーションアルバム!!
変態度いと高し!!マーベラス!!


その特異な音楽性を一言で表せば、ずばり「暗黒Rawブラック+アシッド/サイケロック」
オールドスクール色の強いブーミーなプリミティブ・ブラックをベースに、至極ストレートなロックンロールテイスト独特の浮遊感のある怪しげなアシッド/サイケ要素が見事なまでに違和感なく融合されており、ある種オカルティックとさえ言える珍妙奇天烈ダメダメワールドが繰り広げられている
ホラー映画から持ってきたようなSEを用いたりもしていて、胡散臭い低俗・猥雑な雰囲気はRob Zombieにも通じるなぁ、とか思ってみたり。
実に面白いアヴァンギャルド・ブラックです。


ミドルテンポを中心に時折ブラストなども交えて突進するタイプで、ノイズだらけの汚い音質が非常にカオティックでよろしい。バタバタボコボコしたチープなドラムとジリジリブリブリしたギターの醸し出すロウファイ感が気持ちいい。
ギターがとにかく色々なことをやっていて、ブラックらしいブリザードなリフや哀愁漂うトレモロを掻き鳴らしたかと思えば、ダカダカザクザクとスラッシュメタルまがいのことをやったり、ノリノリで古臭いロックンロールをしたり、クリーントーンでしっとりしたり、フワフワした音で怪しくメロディを奏でたり、ソロがあったりピロピロタッピングしたりと全く一筋縄ではいかないヒネクレ具合。ベースも何食わぬ顔でロックしておりグルーブ感が強調されている。


そうした変則的な楽曲に合わせてかヴォーカルもかなりEvilかつ多様なスタイルを披露しており個性的。メインである、子供が駄々をこねているようなねちっこい喚きガナリはなかなかに、てか結構ヒステリックかつ邪悪。吠えるようなブラックメタル流低音デスボイスも用いられている。時折聴かれるニャーニャーしたノーマル/ハイトーンボイスKing DiamondOzzy Osbourneに似ている。
奇々怪々の妖怪サウンドを築き上げる一つの大きな要因となっていることは間違いない。


まとめると、極めてカルトかつキャッチーな異色作。この音はこのバンドでしか聞かれまい。
サイケなインスピレーションも絡めかなりロック方面に肉薄しているにもかかわらず、でき上がるサウンドはしっかりと暗黒ブラックであり、決して散漫になっていないあたりセンスというか知的なものを感じる。
といっても、メタル/ロック的に、いたってストレートにカッコよかったりする部分が多く、もう無理してブラックにこじつけないでまんまロックでいーじゃん?てな曲もある(#12など特に)
荘厳な暗黒の美学がある真性ブラックなんかが好きな人からしたらあまりにも胡散臭すぎて「こんなんブラックやない!!」とお叱りを受けそうな型破りの作風だが、Nattefrostなどのロック色のあるバンドやNuit Noireなどの変わり種が好きな人にはウケそう。
ハマるとかなり中毒性があり、結構な数の作品をリリースしているが、これはちょっと頑張って集めたいと思わせるだけの魅力(魔力)がある。
個性的なブラックが好きな人は一度食されたし。


・Official Tjolgtjar Website
・Tjolgtjar @ MySpace.com