October Falls:「The Streams of the End 」


Mikko Lehtoなるギリシャの哲人風イケメンによる、フィンランド産ネイチャー・ダーク/ブラックメタルプロジェクト、2007年作EP。駅前で配ってるなんかの体験版CDのような紙パックでのリリース(笑)


以前までは純粋にフォーク/アンビエントな音楽をやっていたようだけど、今作ではメランコリックなメロディを掻き鳴らすノイジーなギターと儚く切ないアコギとが絡み合うヒーゼン・アコースティック・ブラックメタルをプレイされております。除情味たっぷりに表現されるどこか懐かしい情景はまさにジャケのような雪景色。バンド名秋なのに(笑)
AgallochFenなどといったバンドと同系統であるが、あちらが自然の情景をある種淡々と描き出していたのに対し、このOctober Fallsより嘆きや郷愁の念といったエッセンスが色濃く、一回りも二回りもメランコリック#2なんかはペイガンメタルから勇壮さや力強さを抜いて寂しげにしたような実にいい雰囲気。


ヴォーカルはAgallochのようなゆったり寒々しい掠れ気味ガナリデス。枯れゆく生命の無常感を淡々と説いている。


ダイナミックなドラムによるゆったりした曲調がメインであるが、ブラスト展開も織り混ぜてくる。
とにかく悲壮感漂うリフ/トレモロと、しっとり哀愁に濡れた優しい音色のアコギの紡ぎだす憂鬱で寂しげなメロディが胸に響く。除情味豊かでありながら寒さが感じられ、聴いているとどうしようもなく切なくなってくる。特に#3は胸がはちきれんばかりにエモーショナルで切ない名曲。泣ける。
最後は笛とアコギによるアウトロ#4で静かに締めくくる。


とてつもなく儚いしっぽり濡れ濡れ自然派アコースティック・ブラックメタル。
FenAgallochの中間あたりの季節感。
叙情的な世界観に心底陶酔できる。エンドレスで何周聴いても、飽きがくる気配は今のところ全くない。
EPであるためボリュームが少ないことが悔やまれるね。
もしこれでフルレンス並みの尺があったら、と想像しただけで胸のあたりが苦しくなる(笑)
というわけで、前述したようなバンドや、落ち着いた雰囲気のゆったりペイガンメタルなんかが好きな人はぜひ。マジでおススメ。


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