Vrolok:「Soul Amputation」


絶望感溢れるUS産陰鬱オカルト・ブラックメタル/ダークアンビエント、2005年3rd。ボーナストラック2曲入り1000枚限定デジパックバージョン。
アンビエント・ブラックとして結構高い評価を受けているバンドなので、ゆったり鬱に浸れる音源を期待して買ってみたら、どっこい宗教色の濃厚なフランスっぽいカルト・ブラックでびっくり。
どーもこのアルバムだけほかの作品と毛色が違うみたいで、買った当時は期待外れとゆーか、ちょっとがっかりした(笑)
しかしこれはこれでかなり質の高いブラックメタルなんで結果オーライ!!(`・ω・´)


アルバムは3部構成となっており、2〜5分程度の比較的コンパクトな楽曲から成り立っているが、18曲60分強と結構ボリューミー。ブラックメタルな曲と宗教っぽいダークアンビエント調の曲とが混在しており、この辺はアンビエント・ブラックの名残りなのかな。


ブラックメタルな曲の方は初期Mutiilationに似てるかな。いわゆる「闇病み」なスタイル。独特のメロウさと湿り気を帯びた印象的なリフが、緩急をつけつつツタツタドカドカ疾走するプリミティブな楽曲にのっかる。キャッチーでありつつドス黒い邪気がヒシヒシと感じられる非常に暗黒度の高い音楽性だ。またフレンチ・ブラックっぽい叙情的な曲もあり、不穏なベースライン・不安定なメロディが非常に不気味である
ヴォーカルは深くリバーブがかけられており、グウェー―ギェェェと凄まじいガナリ絶叫っぷり。泣き叫んだり、怨念を込めた唸り声や怪しげなウィスパーボイスなども用いており、Meyh'nachMaleficの中間といった感じの非常に邪悪な怨声。


音質は、プリミティブ然りとしたノイジーさ・籠り具合でありながら、[各楽器のバランスがよく低音もしっかりしており実にお見事。地下室的な空気感を維持しつつ、アコギなどキレイに聴かせるところはキレイに聴かせてくれる。


そして曲の合間合間に挟まれるSE・インストが相当怪しくヤバ気な雰囲気。オルガンやクワイア、懺悔やら黒ミサやら呪文やらのようなセリフ等かな〜りオカルティックなモチーフばかり用いられている環境音楽の名に恥じず、部屋中が魔術儀式さながらの空気で満たされる。Funeral Mistで聴かれるSEなんかが好きな人にウケそうな感じ。


黒魔術を本気で表現した暗黒葬送ブラックメタル
適度な疾走感と言い得ぬ憂いを帯びたメロディが映える#3#4#13#14#18あたりはフレンチ・ブラック好き、Mutiilation好きの人ならかなりツボにハマると思う。また曲によってはEmperorに通ずる荘厳な雰囲気もするので、そういったアトモスフェリックな魔界感が好きな人にもおススメ。
アルバム前半と終盤はいい感じにメタルとインストが配されているが、中盤はアンビエント調の曲ばかりになるのでそういったものを好んで聴く人でないと多少ダレてしまうかもしれない。
しかしながら、アルバム全編に漂うヤバ気な空気感は他のバンドではなかなか味わえないと思うので、一聴の価値アリだ。
ちなみに、Sheikh Abd'ajjal (aka Diabolus)なる人物がドラム以外すべての楽器を担当しているのだが、実はこの人フランスのMortifera[]のメンバーだったりする。どうりでフランスの地下物件っぽいわけだ。
他のアルバムもぜひとも聞いてみたいものだね。


・Official Vrolok site