Hell Militia:「Canonisation Of The Foul Spir」
スリップケース→
MutiilationでおなじみMeyhna'ch御大率いる、邪教の香りがぷんぷんするフレンチ・カルト・ブラック・プロジェクトの2005年1st。スリップケース付き2000枚限定版。Arkhon Infaustus、Antaeus、Temple of Baalといった著名なバンドのメンバーによるオールスターバンド。
いや〜ジャケ凶悪ですね〜(´Д`*)ブックレット内の各メンバーの写真は「世界の悪魔全集」からパッチワークして作られたコラージュ画像みたいで気色悪さ満点。ブックレット自体も厚紙製でこだわりを感じさせるね。悪趣味と芸術は紙一重。
一体どんだけ病みまくった音をしているのかと思いきや、意外とまっとうな、Mayhemの1stをブルータルにしたような妖気漂うトゥルー/ピュア・ブラックメタルをやっている。緩急をつけつつ怒涛のブラストで爆走するファストなスタイルで、総じてストレート。ノルウェーっぽい印象を受けるが、邪悪に蠢くリフにはフランスらしい陰鬱さがそこはかとなく感じられ、極めて暗黒度の高い内容となっている。
しかし、とにかく黒い。一般的なブラックメタルをより一層黒くしたような、荘厳・重厚な真っ黒リフの発散する暗黒波動は密室で執り行われる邪教の儀式さながら。メロディは薄いけどひたすらに攻撃的。ボブサップに鉄筋で後頭部を繰り返し殴打されるが如く、魔素の固化した暗黒リフが暴風ブラストに乗って脳髄に叩きつけられる。
そして特筆すべきがこのヴォーカル。当然Mey'hnachなわけだが、苦しそうに呻く彼独特のねちっこい声に加え、今作ではAttilaっぽい掠れ掠れの呪詛ボイスがメインとなっている。これがもうとんでもなく気持ち悪く、惚れ惚れしてしまうほどに病的なのである。神をも呪わんとする歪んだ絶叫なんかも聴かれ、正直Meyh'nach以上にイカれたヴォーカルは存在しないなと確信させられる。かっこよすぎるのよほんと。
また、重低音が分厚くドスの効いた音質がさらに極悪な空気感を作り上げている。
#9終了後しばらく待っていると#10が始まるのだが、この曲だけ色が違う。ギターがだらだらとメランコリックで壊れ気味のメロディを垂れ流す中、情けない普通声で気だるく泣き言を言っているような寂しげな曲、途中で口笛が出てきたり、最後はぃぃぃあぁぁぁ〜〜〜と赤子が泣いているような不気味なしゃがれ声でしめたりとかなり病んでいる。この曲は鳥肌もん。
凄まじい怨念を撒き散らすオカルティックな暗黒ブラックメタル。
Deathspell Omega3rdから除情味を無くしたような、Funeral Mistから汚れを取り除いてストレートにしたような雰囲気。
ぶっちゃけてしまえば、スタイルとしてはあまり個性的ではなく、わりとまっとうなブラックメタルであるが、真に迫ったリフの醸し出す閉塞感・魔界感においてこのバンドは一つも二つも抜きん出ている。
そしてやっぱりヴォーカルね。楽曲は比較的癖が無いといえるが、この病んだ声質のせいで人を選ぶバンドになっているのは間違いない。ダメな人にはとことんダメだろうが、しかし一度ヤられるともう病み付きになってしまう魔力を秘めている。当然俺はヤられたクチ(笑)
普段MardukとかDark Funeralとか聴いていて、ちょっとヤバめの本気ブラックないのん?という人にぜひともお勧めしたい作品。もちろんMeyh'nachファンにとっては問答無用でマストアイテム。
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