Forgotten Woods:「Race of Cain」


ノルウェーの古参RawブラックメタルForgotten Woodsの、なんか「うひっ」って感じのジャケが妙に不気味な約10年ぶりとなる2007年3rd
Neigeがヴォーカルをしていると聴いて勇み足で買ったがこのアルバムにはまだ参加していなかったorz
1991年結成と歴史は古く、Burzumと並んで鬱系などのドゥーミーブラックに多大な影響を与えたバンドということらしい。


その音はと言えば、極初期ノルウェーのスタイルを受け継ぐオールドスクール/プリミティブ・ブラックメタルCeltic FrostDarkthrone2ndあたりに近い音像で、荒削りながらこの古臭さがたまらない(笑)
ブリブリに歪められたギターと薄っぺらなドラムによるミドルテンポ〜スタスタ疾走の硬派な曲が中心で、全体的に結構地味。しかしながら、狂気をチラつかせた鬱気味メロディにカルトっぽさと独特の崩壊感があり、なんか妙な感じがする。


ヴォーカルは咆哮っぽい濁声で、時折悲痛な悲鳴絶叫もきける。なかなかに邪悪。というか不気味。#4では朗々と歌い上げたりもしている。


アヴァンギャルドという噂の割りに前半はほんと地味(笑)
しかし#6以降はなかなか面白い。
#6はそれまでの荒々しい印象とは対照的な、フューネラルドゥームを想起させる静かなインスト曲。孤独、寂しさなどが強調された旋律には確かに葬式系のバンドに通ずるものを感じる。
そして#7が秀逸。物静かでエモーショナルなギターに浮遊感漂う女性ヴォーカルがのっかるんだけど、これがもうなんといっていいやら、聴いていてどうしようもないほど寂しい気分にさせられる。囁くような女声には生気が感じられず、悟ったような諦めの念がヒシヒシと伝わってくる。これはもう完全に彼我の音楽。切なくてたまらない。弱いなぁこーゆーの(笑)
#8は勇壮だったりロックンロールだったりして熱い。#9はスラッシーなリフとメロウなメロディにまさかの「ジーク、ハイル!!」連呼。そして7分弱(長い!!w)の会話を挟んだ跡再びロックンロールに「ジークハイル!!」する素敵な曲だ。


変態度は思ったほど高くないけど、これはこれでなかなか。
オールドスクールなスタイルが好きな人は結構楽しめるはず。
個人的に#6以降の4曲は特に楽しめたし、十分満足のいく内容だ(何様だw)
21世紀とは思えないチープなもっさり音質もその手のフェチにはウケそうだ。
アヴァンギャルドを期待するとコケそうだけど、そうでなきゃなかなかいい感じなんではなかろうか。


余談だが、このCD、Ensiferumの最新作みたいに絵本型のケースになってるんだけど、そのブックレットが奇妙奇天烈摩訶不思議。最初のページには、なんか黙示録のフレーズらしい「私はアルファでありオメガである。最初の者であり最後の者、始まりであり終わりである」というラテン語。それをめくるとページ一杯のドデカ「?」マーク、そして意味不明なアートや「不思議の国のアリス」の挿絵などが羅列された後再び「?」で占めるというなんとも気味の悪い内容となっており、ああ、確かにアヴァンギャルドだなと(笑)この作り込み具合は天晴れだが、肝心のCDは袋とじに入れるだけという、なんかの雑誌の付録CDみたいなお粗末な扱いはどーにかならんもんか、力の入れどこに甚だ疑問を感じる(笑)


・Official MySpace#7#9の会話無しヴァージョンが聴ける。
今作は作風多少変わってるのかも。初期の曲はStridみたいでいい感じだ。