Mutiilation:「Sorrow Galaxies」


間違いなく今現在最重要バンドの一つである、Black Legions(Les Legions Noires)発、最高峰フレンチカルト・ブラックメタルの2007年最新6th。
暗黒魔王Meyhna'chの嘆きはついに銀河にまで達した・・・!!w


5th「Rattenkonig」を、評判悪いし後回しにしていたら買い逃したというのは苦い記憶。しかし今作は楽々ゲット。コンスタントに作品を出していて頼もしい限りです。


まず一聴して感じるのは、音がかなり奇麗になったということ。もはやプリミティブとは言えない厚みのある音像となっている。ドラムも打ち込みでなくタイトで乾いた生ドラムになったため弱冠ブルータルに感じられ、引き締まった感がある。また曲展開にも幅を持たせており、4曲44分超と大作志向ではあるが難解さは皆無。今までに見られなかったオールドスクーリッシュなフレーズも見受けられるなど総じてストレートになったと言えるだろう


とはいえ、本質的なところは何も変わらず、ヒネた陰鬱ジメジメ・ブラックメタルが展開されている。
4th「Majestas Leprosus」路線に憂鬱なフランス的耽美メロを大幅に導入したような作風で、より叙情的な面に主眼が置かれており、むしろメランコリック具合は過去最高
もちろん不穏な空気を撒き散らす鬱屈としたメロディや、なんとも言えない憂いを帯びたトレモロリフはいまだ健在で、独特な真っ黒オーラを放っている
全体としてジャンキーなグダグダ感は影を潜めてしまっているが、おどろおどろしく不気味な雰囲気のパートもきちんと用意されているのでその辺は安心して聴ける。


ヴォーカルはAttila化がより顕著となり、Hell Militiaで聞けたような呪詛ボイスがメイン。正直昔の苦しそうに呻きガナるスタイルは名残惜しいが、恨みつらみを吐露する邪悪な怨声はこれはこれで乙なもの。


とてつもない高クオリティでこの宇宙に満ちた闇に迫るまさに傑作。凄まじい暗黒エネルギーが脳髄を揺さぶる。
個人的には、アルバム各所で用いられるモダンな手法には「?」だが、全編に漂うメロウな雰囲気と邪悪な攻撃性にひどく打ちのめされてしまった次第#3とかホントむちゃんこかっこいい。
やはり非常に聴きやすくなったことをプラスととるかマイナスととるかが分かれるところとは思うが、それでもかなり個性的なことをやっていると思う。なんにしろこの叙情性と攻撃性が同居したサウンドは古参ファンから新参者まで万人が認めるところだろう。今年の最高傑作に上げる人も多いのでは。
それくらいどの曲も素晴らしく、魔王の威厳を感じさせる出来栄えは天晴れというほかないだろう。他の追随を許さない暗黒絵巻っぷりはMeyhna'chがまだまだ現役であることを明確に示していると言える。
まだまだ褒め足りないけどダラダラ書いても仕方ないのでこのへんでやめますが、間違いなくすべてのブラックメタラー必聴の一枚。
これは推薦というより義務だ。


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