Asmegin:「Hin Vordende Sod & So」


ブラックの本場ノルウェーからこんにちは、黒魔導師御用達の暗黒フォーク・ブラックメタルAsmegin。ヴォーカルにIllnathNarrenschiff、クリーンボイスに重鎮ヴァイキング・ブラックBorknagarのキーボーディストLars Nedlandという豪華メンバーを起用して制作された2003年1st。ベースは元Urgehalです。
ディズニーの意地悪な魔女のようなジャケがすでに独特の臭気を放ってます(笑)ここ日本においていかほどの知名度があるか知りませんが、俺の中ではフォーク・ブラック最高峰の大傑作。


土着的で原始的な民謡を、魔族度の高いメロブラにそのままの形で加えたかのような情緒溢れる本気ブラックメタル。いや、「ブラックメタルの手法を取り入れた民謡」、といった方がしっくりくるかも。
ヴァイオリンやアコーディオン、アコギに笛などが大乱舞する民謡サウンドは多分に呪術的で他のバンドとは一味も二味も違う不思議な空気感。


昨今の民謡メタルにありがちな、メタルの持つ攻撃的な面とは不釣り合いな明るいお祭りパートを用いてそのギャップに快感を得るようなスタイルではなく、このバンドはブラックメタルの持つ暗黒面をさらに助長させるかのような、非常に魔術的でシリアスな演出として民謡を用いているというのがその理由の一つだろう。
加えて、メタルな部分がかなりブラックブラックしている点が素晴らしい。特にギターは非常に民謡的でありつつダーク、かつキャッチーで耳の肥えたブラックメタラーをも唸らせるであろう出来


そしてもっとも特徴的なのがヴォーカルパート。高音喚きから低音グロウルまでを完璧に使い分けるNarrenschiffの役者ぶりもさることながら、それに加えて多種多様な「声」が複雑に絡み合う、というのがこのバンド一番の武器なのではないかと思う。Lars Nedlandの朗々としたクリーンボイス、エスニックな女声&男声、そして数種のデスボイスがそれぞれ全く別のメロディを同時に歌い上げる様はまさに圧巻の一言。コーラスというよりは、どの声もメインボーカルというような位置づけで、その掛け合いというか、重ね方が絶妙で、ハマると病み付きになること必至。これこそこのバンドを唯一無二の古呪術ブラックたらしめている要因だろう。


もう一つ。基本はゆったり横乗りリズムをキープしているドラムが、突然発狂したかのようにキチガイ染みたブラストを始めるのも魅力のひとつ。もうね、これはわけわかりません(笑)バルカン砲でもぶっ放しているのか、はたまたヘリのプロペラ音かという場をわきまえない暴れっぷりに思わず吹いてしまうwww全く空気を読む気のないこのブラストビートはいっそ清々しいです(笑)


ベストチューンは第一印象が強烈だった#8Finntroll meats 黒魔術 + キチガイブラスト」 といった趣の悶絶ポルカブラック。ただ、聞けば聞くほどどの曲もかっこよくて悶絶しっぱなし、基本的に捨て曲が一切ないという素敵クオリティ。


エスニックな哀愁と原始呪術の魔力がめがっさ詰まった、マニア悶死確実の名盤これぞ後世に語り継ぐべき民謡ブラックメタルの真骨頂、オリジナリティの塊のようなこの音楽性は民謡好きには一度は聞いておいてほしい。おそらくこれを超えるバンドはそう簡単には現れないだろう。
・・・・・・話の種にブラスト目当てで買うのもアリかと(笑)


・Official Site:新作の話はいったいどこへ・・・?
・MySpace(Fan page)1:3曲目、アルバムに収録されてんのとちょっち違うね。
・MySpace(Fan page)2