Blooddrenched Memorial 1994-2002 / KRISTALLNACHT


フレンチ・NS・カルト・ブラック・メタル大親KRISTALLNACHT の、1994〜2002年の間に出された9枚(画像右)の音源全てをブチ込んだお買い得ディスコグラフィー盤。
全21曲72分。


俺はNSブラックってのが思想面以外でどーゆー特徴があるのかよくわかんないんだけど、このバンドがやってるのは SATANIC WARMASTER のような、メランコリックなメロディでファストに攻めるスタイルのプリミティブ・ブラック・メタル
超絶好み。


①#1〜#3は1995年の曲。篭りまくりベコベコの音質、 ちょっと BURZUMic な高音絶叫/ガナリボーカル、単調なドラムにメランコリックなギタメロと典型的UGブラック。、うっすらとキーボードが導入されており、#2ではギターのメロディもピカイチで早くも後のメランコリック・ブラックが頭角を現している。その辺は#3にも言えるな。
②#4〜#6は1996年の音源。各楽器がはっきり聞き取れるようになったが、あくまで「UGブラックの範囲内(ここ重要)」での話。。また、さっきまでとはうってかわってアトモスフェリックなキーボードがかなり前に出てきて、もはやシンフォニックとすら形容出来そう。そのおかげで曲全体に神秘的なオーラが充満しており、実にいい空気感。#4のKeyなんかはどこぞのメロスピバンドが使っててもおかしくないくらい爽やかなHolyメロディ。 #4、#5ではボーカルがなぜかドナルドダックな【かすれ系】喚きボイスに。ぐぐっとクオリティが上がってきた印象。
③#7は98年の音源。基本的には96年の延長線上だけど、若干ファストになった印象。バスドラが大分はっきり聞こえる。この曲かなりメロい!!
④#8〜#11は99年作。さらにファストに、シンフォニックになり、Keyが入るともはや完全なシンフォ・ブラック。ファストになった XASTHUR ってかんじかな。そのせいでちょっとメロウなギターが引っ込んじゃってる感が無きにしも有らずだけどドラムもはっきり聞こえるし概ね良好な音質。#8のタイトルはバンド名背負ってるだけあってスンバラシイ出来。#9は#7と同じ曲で、#11は#4と同じ曲。4曲とも実に素敵な曲ばかりで、シンフォニック路線の曲はこの時点で既に完成された感がある。
⑤#12と#13は2000年の音源。さらにさらにファストになって、今度は重さも伴ってストロングなスタイルへ。Keyがうっすら程度になって叙情味たっぷりのギター主導に遷移。おれはこっちのほうが好きだなぁ。ボーカル替わった?ボーカルのガナリ具合が凄いことに。#13は#5の曲。
⑥#14、#15、⑦#16、#17は2001年の音源。#14はインスト曲。#15は久しぶりにプリミティブ然りとしたファスト・チューン。これはかっこいい!!このアルバムのハイライトだな、これは。曲の良さもさることながら、ボーカルの壊れっぷりも臨海突破。鬼気迫る迫力があるね。⑦では若干篭った音質に。それに合わせてボーカルスタイルも Mayna’ch を彷彿させるようなガナリスタイルに。#17はライヴの曲だ!!スローテンポの曲でボーカルは普通声のみ。観客がハイハイいったり一緒に歌ってたりして盛り上がっている。 ABSURD のカバーらしい。へー
⑧#18、#19⑨#20、#21は2002年の曲。2001年のスタイルを踏襲。ボーカルは更に篭り気味のガナリ声で、 Malefic のようなエフェクトがかけられてる。音質も荒さを増してUG臭ぷんぷん。#19は珍しくミッドテンポで単調・ダウナーな曲。 NARGAROTH みたいな。 こーゆーの好きだ。⑨ファストかつメロディックで、#20は#15とならんでこのアルバムのハイライト。#21は#19みたいな曲。ボーカルはエフェクトかけられたノーマルボイスチックに叫んでてなんとも悲痛な感じ。ここで#8〜#11で使われていたようなアンビエントKeyが大々的に復活している。


アルバム全編通して徹頭徹尾プリミティブかつメランコリック。
煽情力豊かなチリッチリギターによって紡がれる地下音源ならではのメロウさがたまらない。
また、かなり大々的にKeyが導入されているのがこの手のバンドにしては意外と言えば意外。
しかしこのKeyのおかげでアルバムじゅうに緊張感が冴えわたっていて、オーソドックスなプリミティブ・ブラックとは一線を画すものとなっているる。
#1〜#3ではまだ頼りなさが有るけど年を経るにつれぐんぐんクオリティが高くなってきて、全体としてはUGブラックファンにはたまらない音楽性になってることは間違いない。
数あるUGブラックのなかでも抜きん出た傑作だと思った次第。
フレンチ・ブラックらしい暗さというか、ジメジメ感はあんまなくて、どっちかっつとフィンランド系のメロディ・センス。
アヴァンギャルドな部分がない分完成されたブラック・メタルで、地下音源好きのマニアにはまず押さえていて欲しいし、プリミティブ系は苦手な人も食っといて損しないバンドだね。Great!!