Vampires Of Black Imperial Blood / MUTIILATION('95)

フランスのUGカルトブラックメタルといえばこのバンド、MUTIILATIONの95年1stの04年のリマスター再発盤です。
このバンド、結構ブラックメタルを聞く人でも知らなかったりしますが、マニアから絶大な支持を受けています。
まぁその理由は音を聞いてみればわかります。
ついでに、このバンドは自分が最も好きなブラックメタルバンドだったりします。


音質は劣悪でこの手の音源好んで聞かれる方でないとつらいかもしれません。
ブラックマニアの方なら全然いける、というかむしろツボをついた音質だと思います。
自分にとってはブラックメタルならこれくらいが最適かな?
悪いといっても楽器の分離は結構いいんで安心二重丸。


ミドルテンポ主体のスタイルなんですが、このミドルパートがなんとも気持ちよくだらだらとしていて、
このバンドの持つ独特の壊れた感覚を醸し出すのに一役買っています。
そしてミドルテンポを軸に要所要所でファストパートになだれ込むその様は正に狂気の沙汰!!
このバンドはなんと言ってもその鬱々としたメロディが魅力!!終始メランコリックメロがだらだらと垂れ流されています。
このメロデェが非常に切実で、もう胸をかきむしられてかきむしられて、自分も沈み込んでしまいます
どの曲も、完全にブラックメタルでありつつも憂いを帯びた極上暗黒メロが標準装備です。
プリミティブブラックというと結構乾燥してざらざらした質感のバンドが多いと思うんですが、
このバンドはそのメロディのおかげで独特の湿り気を帯びていて、それがこのバンドを他のバンドとは一味も二味も違ったものにしています。
それが顕著な形で炸裂するのが5:Transylvania
この曲はもう涙なくしては聞けません!!
胸を張ってこの曲がブラックメタル最強の曲だといえます!!
またこのヴォーカルにも触れないわけにはいきません。
メロディと並んでこのバンドをMUTIILATIONたらしめている要因がこのヴォーカルなんですが、
その邪悪っぷりはブラックメタル界広しといえども群を抜いています。
もはやデス声とかそんなん超越してますね。
地獄のそこで亡者がのた打ち回っているようなうめき声はAttila氏(MAYHEM)にも届かんばかり、
みんな死んでしまえと怨念を撒き散らすグウェーーーーーーというガナリはなんか自分が苦しそうです。(笑)
時には泣き叫んでいるかのような悲痛な絶叫もしてます。
間違いなくブラックメタル界随一のヴォーカリストだといえます。


ブラックメタル悪魔の音楽ですが、こいつらは悪魔というよりも精神異常者とか、どこか壊れてしまった人間の恐怖みたいなものを感じさせます。
病みきってます。完全に真っ黒です。
BURZUMにも似た、なんてゆーか、聞いてると非常にテンションあがりつつ、
自分の内面に閉じこもってダウナーになれるような、なんか不思議な感覚に陥ります。
しかもすごい閉鎖的かつ中毒症状を誘発させる音をしています。
足を踏み入れたが最後逃れることは許されない。
暗黒の美学というものを強く意識させてくれます。
結構曲にヴァリエーションがあって、おんなじフレーズを淡々と繰り返すとこもあれば展開もしっかりしてたりするんで最後まで飽きずに楽しめます。
どの曲も非の打ち所が無いほどかっこよくてその作品世界にどっぷりとつかることができます。
間違いなくブラックメタル史に名を残すバンドです。
決して万人受けする音源ではないですが、ブラックメタラーを自負している方は聞いておかないといけないバンドだと思います。
ズバリ、必聴!!