S.S.W.G.：Further Acts of Atheism

レビュー S


アメリカ産ブラックメタル、2010年デモ。8曲26分強。
先日紹介した1stと同じくE.E.E. Recordingsよりリリース。


【哀愁ダダ漏れメロディを伴って心地よく疾走爆走する荒くれメロウ・プリミティブ・ブラックメタル！】


ポンコツ気味のツッタンツッタンミドルテンポ〜小気味良いスタスタ2ビートをベースにバコバコドガドガズタタタタと初期衝動そのままに前のめりで猪突猛進するブラスト暴走を絡める荒々しいドラム、シャリシャリジャージャーとプリミティブに歪んだツインギターが掻き鳴らす、捲し立てるような焦燥感と胸を締め付けるようなメランコリーが襲い来るトレモロ／リフ、寒々しくもがっつりメロウなTransylvanian Hunger系トレモロ、切れ味鋭いメタリックなリフ、スラッシーなオールドスクール・リフ、ミスティックなブラックメタルリフ、そこはかとなくトラッドな情緒感の感じられるペイガン風味のリフ、ギャァギャァギエエエエとイーヴィルにガナるヴォーカル等が絡む。


基本的には1stと同路線だが、よりスッタンスッタンミドル〜ツタツタ疾走パートに比重が置かれ、またギターもロウファイさが強調されており、よりプリミティブな印象。
さらにギターの奏でるメロディが1stよりメロウさ4割増しといった具合であり、とんでもなく琴線を刺激することこの上ない。
#1[Further Acts of Atheism]や#2[Storming the Midwest Front]、#5[Fiction]などをはじめとして時折哀しさの中にややもすれば明るいとすら言えそうなペイガン的勇ましさも垣間見せたメロディが際立っている。
かといってフランス産メロディック・ブラックの雄AorlhacやSuhnopferほどやり過ぎなクサさに傾倒していないという絶妙な塩梅の極上失禁メロディが炸裂しており、もう堪らないものがある！
しょっぱなからガツンとかましてくれる#4[Far Beyond This Life...]などはヘッポコっぽさもあり、感覚としてはSigillum Diabolicumをもっとキチンとブラックメタルらしくしたような感じに近いかもしれない。
#8[Nihil Thoughts (Rehearsal)]なんかはBlack Mistファンキラーなポンコツメロウチューンとなっており激しく悶絶。
メロディもハンパじゃないが、ツタツタ疾走から機関銃のような激烈ブラストまで緩急使いながら前のめりに突っ走るリズムセンスも相変わらず抜群であり、ブルータルでありながら聴き手をグイグイ引き込むこのノリは実に爽快。
Rawな音質でのメランコリック爆走の気持ち良さったらないね。


というわけで、Satanic Warmasterの2ndやNekrokrist SSあたりのフィニッシュ・メロウ・プリミティブが好きな人に是非ともオススメしたい一枚。
ヘヴィメタル的な意味ではやはり1stの方が洗練されているが、メロウ・プリミティブとしてはこちらの方が上だろう。
先日書いたとおり1stも大変素晴らしかったが、正直個人的には1stより断然こっちの作品の方が好み。
疾走感に満ちたリズムといいメロディセンスといい何から何まで個人的に超弩級ストライクであり、かなーりヤラレてしまった次第。
プリミティブと書いたがシャリシャリボコボコの淡々とした劣悪プリミティブといった様相は（#7[Storming the Midwest Front (Rehearsal)]、#8のリハーサル音源を除いて）一切無いので、プリミティブは無理と言う人にも是非聴いてみていただきたい。
あまり有名なバンドではないと思いますがこれはヤバいですよ！


【お気に入り】
#1[Further Acts of Atheism]：これぞまさしくガッツポーズ・プリミティブ・ブラックメタル！
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Black Mistファンなら悶死確実の#8[Nihil Thoughts (Rehearsal)]。