Book of Sand:[Destruction, Not Reformation]


アメリカ産、ポスト・アンビエント/エクスペリメンタル・ブラックメタル、2010年2nd。7曲35分強。
Gnaw Their Tonguesをはじめとした変態バンドを抱えるParadigms Recordingよりチープな紙パックでリリース。


【キャッチコピー】
淡いモノクロの濃淡で古き中国の自然風景を描いた水墨画に、アストラル体が吸い込まれて夢幻時空の狭間をグワングワンと漂うような幻想ブラックメタルアンビエント
【一言】
ゆら〜りゆら〜り幽鬼のようなミッドテンポ織り交ぜながら、ペトトトトトと軽い音でファストにブラストするおもちゃのようにチープなドラム、中国4千年の歴史を思わせる雄大さや妖しげな薄気味悪さを醸し出すストリングス、それとユニゾンしながら寒々しく神秘的なトレモロやシューゲ系に通ずる淡い儚さや切なさを感じさせる感傷的トレモロを掻き鳴らすノイジーギター、物寂しげかつ幻想的なアンビエンスで滑らかに空間を埋め尽くす弾力性を伴ったアトモスフェリックなシンセ等が絡む。
【二言】
霞みがかったミステリアスな空間の奥のそのまた奥の方から、爬虫類系掠れ気味高音絶叫が薄く幽かに木霊する。
【三言】
ヘヴィメタルなソリッド感を極限までそぎ落としぬらっと平滑化したブラックメタルでミステリアスなダークアンビエントをやっているような、The Pyramids幽体離脱してWolves in the Throne Roomeに憑依したかの如き音楽性。
【蛇足】
怪しくミステリアスで幻想的な雰囲気に満ちた、かなり個性の強い実験系アンビエントブラックメタル
感触としてはWolves in the Throne Roomをベースに、ColdworldDarkspaceに近いアンビエントな方法論とA Forest of Starsの怪しくミステリアスなストリングスを加えたような感じ。
アメリカ産なのにどーにも中国っぽくしか聞こえないストリングス(チェロなんですか?)が印象的。
ドラムが、まるで遠くの方で箱でも叩いてんのかっってくらいに軽く、ドラムの作るリズムを骨格に楽器隊が肉付けするというよりは、ギターとシンセが作り出す肉厚な空間にドラムが紛れ込んだような楽曲群。
メタル感はすこぶる希薄であり、アンビエント作品の聴き心地。
またポストロック/シューゲイザー影響下のブラックメタルバンドに通ずる淡い儚さやノスタルジーといったものも強く感じられ、感傷的なメロディがグサグサと胸に突き刺さる。
この独特の雰囲気に飲み込まれる感覚が非常に心地よく、かなりお気に入りの一枚。
この手の音楽性ならもっとボリュームが欲しかったかな。
というわけで、The Pyramidsのような変態アンビエントや、前述したようなバンド群、Pest Productions系列のシューゲブラック等の、幻想的なサウンドスケープを描くようなブラックメタルが好きな方にオススメの逸品。
【お気に入り】
#1[No Excuses for Fascists Sypmathies]:呪泉郷よいと〜こ〜、一度はおいで、チャイナチャイナ、お待ちしているよ〜
【オフィシャルサイト】
http://bookofsand.bandcamp.com/
MySpace
http://www.myspace.com/bookofsandmusic


本作収録曲が見つからなかったので、前作収録曲をば。