Autarcie:[S.I.D.A. (Sédition. Isolement. Déliquescence. Autarcie)]


Dysterのメンバーが絡むフランス産ディプレッシブ/プリミティブブラックメタル、2009年1st。11曲49分強。


【キャッチコピー】
フランス臭いジメジメした陰湿な叙情と美しく心洗われるようなアルペジオが胸を抉る腐れお耽美ディプレ/プリミティブ inspired by Celestia, Mortifera, and Peste Noire!!
【一言】
ダラダラと引きずるようなスロウ・ミドルテンポ/ボコボコバコバコ荒々しいブラスト疾走絡めながらポンコツするRawなドラムに、ジメジメと陰鬱メランコリーな儚げロマンティックトレモロ・リフ、モロPeste Noireな腐った叙情のオンボロ癒しクリーンギターのアルペジオ、荘厳で冷徹な緊張感漂うシンセ等が絡む。
【二言】
ギエエエグウェエエエとガナリ散らす喉ガラガラ邪悪ヴォーカル。中音〜高音の薄めMikko社長Famine兄貴のムズ痒さといった感じか。
【三言】
チープに曇った瘴気漂うラフなギターと心地よく粗いポンコツなドラム、フランス極悪系のガナリ声などがカルトな地下室臭を醸し出す。
【蛇足】
MutiilationからCelestiaMortiferaを経てPeste Noireへと至る一連の流れを、かなり分かり易くハッキリと受け継いだ良作。
Dysterと同系列に括れる音だが、こちらの方がより美しく儚げかつストレートな作風で、Celestiaほどドぎついナルシシズムが鼻につくわけでも、Peste Noireほどぶっ壊れているわけでもなく、Dysterに比べるとMutiilation臭も希薄。
#8[En Autarcie]ではNuit Noireのような壊れメロウ/パンキッシュなフレーズも聴かれ、なんというか、僕好みのフランスバンドの魅力を網羅してくれているような印象(笑)
前述のバンド達と異なる点として、アルバム通してファ〜ファ〜したシンセが効果的に用いられている点が挙げられる。
#2[Source de Plour, Rivière de Tristece]ではColdworldのようなヒンヤリと凍てついたアトモスフィアが楽しめる。
というわけで、LLNに通ずる荒くれたポンコツ感の心地よさと、琴線に触れる鬱屈した叙情メロの絶妙な配合具合はフレンチプリミティブマニアに受けること必至。
さらに言えば、胸が苦しくなるような根暗耽美で儚げなメロディから押し引き心得た楽曲構成、ノリノリのリズム感のセンス等が感じられるにも関わらず、全く垢抜けきれていない野暮ったさというかB級感が滲み出ているあたり、実に通好みで素晴らしい(笑)
前述したようなバンド群が好きならきっと楽しめるだろう。
特にPeste Noireフォロワーと言える感性を持ったバンドは貴重だと思うんで、Famine兄貴に掘られたい同志諸君は是非ともチェックされたし。
【お気に入り】
#10[Séditio Ionis Sequania]:10分弱の大作。泣けるメインメロもさることながら、4分半過ぎ、9分過ぎあたりからのノリノリ疾走パートがたまらない。
【レーベルサイト】
http://www.dernier-bastion.fr/db009.html