The Autumns:[Fake Noise From a Box of Toys]


UKなサウンドを聴かせるアメリカ産、ポストロック/シューゲイザーオルタナティブロック
Cocteau Twinsのメンバーが運営しているBella Unionからリリースされた2008年2ndにボーナストラック4曲を追加した2009年国内盤
16曲59分弱。


【キャッチコピー】
触れれば壊れてしまいそうな繊細で叙情的なメロディのレイヤーを、力強いダイナミズムの上で幾重にも折り重ね構築される、あまりにも美しすぎる静と動の美麗ロック
【一言】
キラキラと音の粒子が舞うような繊細なクリーントーン、心洗われるようなアコースティックサウンドからガリガリと悲鳴を上げるヒステリックな轟音ノイズまで、様々な音色のギターが奏でる情緒あふれるメロディは、歓喜に打ち震えるように神々しい輝きと不安で寂しげな憂鬱感、切ない儚さをギリギリのところで不安定に行き来する。しかし底辺で一貫しているのは、ただただ美しいというその一点。
【二言】
それぞれの楽器が強烈に自己主張しながらも、互いが互いを引き立てるように壮大なスケールに収斂させる素晴らしき作曲センスと表現力。情報過多なほど様々な音色が鳴り響いているものの、それぞれを空間的に配置し驚くほどスッキリとクリアとノイズの両立を実現している完璧なサウンドプロダクションも見事。
【三言】
圧倒的な存在感を発揮するMatthew Kellyの神秘的ファルセット。Robert Smith(The Cure)を彷彿とさせる、切ない憂いをタップリと孕み、不安に苛まれているような悩ましくセクシーな声音、そして瑞々しいハーモニーを響かせるコーラスワーク。時折垣間見せる甘く淡い静かな幸福感がこれまた切なくて胸が締め付けられる。
【蛇足】
おそらく今年最も回数を聴いているお気に入り中のお気に入り
帯にはシューゲイザーサウンドをベースに」と書かれているが、典型的シューゲイザーとは一線を画す音楽性。
静と動のダイナミックな骨格に、Sigur Rosに代表される流麗なポストロックサウンドシューゲイザーの轟音サウンドで肉付けした、とでも言ったところか。
楽曲によってはクラシックシューゲイザー独特のサイケデリックな酩酊感の強い楽曲もある(#6[Night Music]とか)。
可憐で繊細な、小さなオルゴールのようなキラキラサウンドと、攻撃的でマッシブな轟音が目まぐるしく入れ替わるスリリングさがたまらない。
一曲一曲がコンパクトかつ個性的で完成度も高く、アルバム一枚興奮しながら聴き通すことができる。
非常に内容の充実したオススメの一枚。
なお、本編に比べるとボートラは割とおまけのような内容なので、買うのは輸入盤でもいいと思う。
【ゲキアツ】
#2[Boys]:アルバム中でも異色なアグレッション。しょっぱなから脳髄をガツンと殴られたような衝撃。PVも面白い。
#3[Clem]:可憐さと攻撃性と。
#5[Killer In Drag]:情緒不安定。
#8[Glass Jaw]:抑えきれず噴出する歓喜のギター。
#11[Adelaide]:儚く美しいドライビングチューン。
【傾向と対策】
なんだろ。Sigur RosMuseCocteau TwinsThe CureRideあたりのロック色の強いシューゲイザーとか。
【オフィシャルサイト】
http://www.theautumns.com/
MySpace
http://www.myspace.com/theautumns