Circle of Ouroborus:[Streams]


フィンランド産、Nuit NoireUrfaustなどと並んで悪名高いヘンテコリン・プリミティブブラックメタル、2007年3rd
全9曲40分強。ジャケからして怪しさ胡散臭さ抜群のUG200%音源。
マニアックなリリースを連発しているこのバンドの中ではおそらく一番入手が簡単な音源なのではないでしょうか。恥ずかしながら僕はこれしかもってません。
フィンランドらしい寒々しいメロウさ溢れるトレモロNuit Noire的倦怠感漂うリフなど、実に心に響くメロディを実装している一方で、泣き言系ヘロヘロヴォーカルがインパクト絶大な変種プリミティブとなっている


ドッタンドドタンというスロー〜ミドル、ツタツタ裏打ち2ビートといったツボを心得たRawなテンポを叩き出すポンコツドラムに乗せて、ジリジリとプリミティブなギターが、フィンランド的寒々しくメロウ、微妙にヒステリックなオールドスクールリフ/トレモロ、およびNuit Noireを思わせるアンニュイ・メランコリック・ほんのり不穏なフランス的リフ/トレモロを掻き鳴らし、これまたNuit Noire、またはUrfaustに通ずる情けなさ満点の脱力系ナヨナヨノーマルヴォイスが気だるげに愚痴を洩らす
言ってしまえばNuit Noireをフィニッシュプリミティブ化したような、ヘンテコリンなヴォーカルがのっかるパンキッシュでメロディアスなメロウプリミティブだが、Nuit Noireのような失笑を誘うコミカルさは一切無く、気だるくアンニュイでありながら、不気味なぶっ壊れ感が酷く気味悪く、寒気を覚えるような狂気が感じられる。いわゆる「レイプ目」で表現されるような精神崩壊系の虚無感。
単調なリズムの上でボロロンボロンと不安感を煽るアコギと何かに取り憑かれたように淡々とうわ言を繰り返すヴォーカルで進行する不気味極まる#4などはその点が特に顕著だ。
そしてやはり耳を惹くのがこのどうしようもないダメ人間ヴォーカル人生うまくいかず、下手な新興宗教にハマり、骨までしゃぶりつくされて疲弊しきっているような、倦怠感一杯の声色。そんなダメさ漂うグダグダヴォーカルは、苦手な人はとことん苦手だろうが、しかしハマる人はとことんハマるであろう中毒性の高さ。あ〜、たまんね〜。
音質も適度に籠り気味かつ劣悪な、マニア好きするRawさ。


というわけで、Nuit Noireに代表されるようなヘタレ系プリミティブが好きなら押さえておきたい一枚。
個人的には、メロウさ際立つトレモロとパンク感漂うリフ捌き、そしてなにより期待の国産プリミティブFenrisulfと同系統のポンコツ感漂うドラムが激しくツボにハマった次第。
忍び寄る闇がジワジワと精神を蝕み、モヤモヤとした非常に嫌〜な気分になれる。そういう意味ではディプレッシブブラックの亜流としてとらえるべきなのかも。
何度も聴くわけではないが、たまに無性に聞きたくなる、そんな一品。
フィンランドNuit Noireと言われて食指が動いてしまうような変態紳士の方ならきっと楽しめるだろう。


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