LíAM:[Journey...Two years and a fragment]


ドイツ産、ポストロック/シューゲイザー系ポストブラックメタルLiamの2008年1st。1000リミテッド。
結構前からずっと欲しかったアルバムで、HeretoirEPが出たのをいい機会にPest Productionsから直接購入。
ここんとこ聴きまくっている一枚であり、性懲りもせずいつもの如く、「なんでもっと早く買っとかなかったんだ!!」と頭を抱えてしまう素晴らしい内容。


Wolves in the Throne RoomAltar of Plaguesのような荘厳さ・神秘性を帯びたシューゲブラックらしいトレモロAmesoeursFenを思わせる粗いガスの粒子が拡散するような音色で奏でられるモダンな叙情トレモロ鋭く切りつけてくるヒステリックで感傷的な高音掻き鳴らし淡く繊細な旋律を奏でるきめ細やかなアコギ/アルペジオ・および切なげで幻想的な柔らかいクリーントーントレモロ温かみのあるベースラインなどによって、淡いノスタルジーと儚い癒しに満ち満ちた情景を描き出すポストロック/シューゲイザーブラックメタル
例の如くゆったりしたスローテンポ〜軽快なポストロック的アップテンポが主体で、ブラストなどはなし。
厚みと奥行きを持たせつつ、力強くノイジーに歪められた迫力のある轟音ギターサウンドが非常にダイナミックな聴きごたえを演出しており、また琴線を刺激する絶妙な繊細さも兼ね備えており、本格シューゲイズ顔負けの見事な音質に思わず背筋が震える


アルバムは二部構成となっており、前半(#1〜#5)はほぼポストロックと言って差支えないような楽曲が並ぶ。後半(#6〜#8)はよりドゥーミーでディプレッシブな昨今の陰鬱ブラック寄りの音像。
特筆すべきはやはりその明るくも切ないメロディの秀逸さとくに前半やラスト#8はメロディのセンスがモロにAmesoeursAlcestを彷彿とさせる。冷たく鋭利な音色ながら仄かな温かみや柔らかさを感じさせる抜群の哀愁郷愁メロディに切なくも癒され、まるで直接心を掻き毟られているかのような儚いノスタルジーに胸が一杯になってしまう。
また#6#7も淡く爽やかな叙情を残しながらも、憂鬱をこじらせたかのような湿った虚無感がいい塩梅。


なおヴォーカルが入るのは#6#7のみであり、それらの曲ですらヴォーカルは少なめ。そのヴォーカルはといえば、鬱系らしいガナリ咆哮スタイル。悲しげに猛る慟哭がディプレッシブで良い。Fenっぽいノーマルヴォイスのコーラスもチョロっと入る。


というわけで、感傷的で心に沁み入るシューゲイザーブラックメタルの名盤
いやむしろブラックメタルシューゲイザーとでも言うべきか。先日紹介したHeretoire以上にシューゲ寄りのサウンドであり、心地よい轟音と美しく繊細なメロディの幻想に溺れる悦楽はシューゲイザー以外の何物でもない。AmesoeursFenをさらにシューゲ寄りにしたというか、Alcestをブラック寄りにしたというか。ブラックとシューゲのバランスがかなりイイ線突いてます。ツボ極まりない。
前述したように音質・音響面もすこぶる完璧。
AmesoeursAlcestFenWolves in the Throne Room、およびそれらに類するようなポストブラック勢が好きな方には自信を持ってオススメできる一品。
ヴォーカルがほとんど入らないインスト仕様であるため、インスト曲が苦手な人は注意が必要だが、その点さえ気にならなければかな〜りおいしくいただけるはず。
ポストNeige時代の作品の一つとして是非お手に取っていただきたい。


・Myspace:Pest Pro.グッジョブと言わざるを得ない。