Lantlôs:「Lantlôs」
ドイツ産ディプレッシブ/ポストブラックメタル、2008年1st。
先日、某uni○nでAlcest、Amesoeursファン必聴的なこと書いてあったんで迷わず購入。バンドロゴもモロにAlcest、Amesoeursじみている。
いわく
Lantlôs is a cry. A cry in this industrial, modern world.
A shelter for the homeless, who turn their backs to the faceless.
ということで、現代的、都会的なインスピレーションを強く想起させるセンスあふれる次世代ブラックメタルをプレイしている。
最近のLifeloverのようなおしゃれリストカットブラックにAlcest、Amesoeursを彷彿とさせるシューゲイズ的儚さをブレンドした新世代系ブラックメタル。Wolves in the Throne Roomっぽい雰囲気も感じられ、ところどころのリフではPeste Noireのような叙情的な陰鬱感も垣間見える。
リストカット系特有のジクジクとした陰惨なオーラが充満しており、悲壮感と絶望感が強烈に滲み出ている。
Amesoeursなどと大きく異なるのがリズム面。彼らはロック的なリズムを大々的に取り入れているのに対し、こちらはバタバタした忙しないブラストで畳みかけるファストなスタイル。アグレッションを損なっていない分そこまでブラック離れしておらず、あくまで「ブラックメタル」として聴ける。
鬱ブラック然りとした印象的なベースライン、絶望に打ちひしがれたように叙情的なネガティブメロ、そしてそこに被さる儚く物悲しげだがどこか温かみの感じられるシューゲイズ的トレモロが激しく琴線に触れる。寂しげ、物憂げなアコギも交え、狂おしいほどの切なさ・寂寥感と、だからこそ得られる何とも言えない癒しに胸が一杯になる。
またヴォーカルも非常に素晴らしく、Lifeloverに似た悲痛な絶叫を張り上げている。もうこのスタイルの曲にはこのヴォーカルしかないっしょってくらいマッチしており、感情の赴くままに情けなくも泣き叫ぶ様がどうしようもない悲壮感を醸し出している。
というわけで、涙腺決壊必至の鬱癒し系ポストブラックメタル。
まっとうにブラックメタルをしているAmesoeursとでも言おうか。#3、#4とかまさにそんな感じ。泣ける。
とにかく、リストカッティングな陰鬱感を逆手に取って破壊力を増したシューゲイズ的なフレーズが胸を打つことこの上ない。
憂鬱感と倦怠感を感じさせるスローパートから一転して感情を爆発させるファストパートへの展開は感動的ですらある。
Alcest、Amesoeurs、Lifeloverその他前述したバンドたちのような既存のブラックとは違った新たな世界観を強く打ち出した現代ブラックが好きな人は滂沱の涙を流すこと間違いなし。
個人的にツボど真ん中な音であり、激しくおススメしたい一枚。
素晴らしいにもほどがある!!(笑)
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このジャケを見てヌルを思い出したのは自分だけじゃないはず。あの「ちょ〜だい」は軽くトラウマ(笑)