Krallice:「Krallice」


アメリカ産、新世代激情ポストブラックメタル、2008年1st
Daymare Recordsから日本盤が出そうなスタイルの、エクスペリメンタルな趣のある素晴らしい内容。
個人的2008年ベスト・オブ・ブラックメタル受賞作品にして、購入して数カ月たつ現在も絶賛ヘヴィロテ中の一枚。


内側から込み上げてくる衝動的な激情をただひたすらギターにぶつけているかのような焦燥感のあるスリリングな叙情トレモロがこれでもかと胸を掻き毟るメロディックブラックメタル。時折うっすらとKeyが絡む。
悲哀、憤怒、絶望といった激しい感情がないまぜになってパニックに陥ってしまいながら、狂気一歩手前ギリギリのところで荘厳さと気品を感じさせるようなかなり独特のヒステリックな作風。
トレモロトレモロトレモロ
軽くゲシュタルト崩壊を起こしそうなくらいどこを切ってもトレモロづくめ。
全編緊張感あふれる儚くも美しいトレモロのみで楽曲が構成されており、凄まじいまでのメランコリーに打ちのめされる
楽曲はメリハリをつけつつも疾走〜爆走メインのドラマチックかつファストなスタイル。
とくにヤケクソ気味にシンバルを打ち鳴らす怒涛のブラストパートでは慟哭のメロディもあいまって激ドラマチック、鬼神の如き爆発的なエネルギーを発散している


ヴォーカルはあまりブラックメタルっぽくないヒステリックな発狂スクリーム。
全然デス声ではなく、鬱系ブラックで聞かれそうな声色だが、どっちかって言うとハードコアとか激情ギターロックとかの感情剥き出しスクリームに泣きを過剰添加した感じといったところか。
焦燥感あふれる楽曲と見事にマッチしておりベリーグッド。


ブラックメタルの方法論でポストロックを表現しているような、完全にブラックメタルの範疇にありながらブラックメタル以外の所に根っこをもってそうな、まさにポストブラックメタルの名にふさわしい内容
北欧ブラックメタルらしい部分も感じさせながら、他のバンドでは聴くことのできないブラックメタルっぽくないメロディセンスは既にカリスマの域
もはや芸術的にすら感じられる。
とにかく感傷的な音色で掻き鳴らされる鬼気迫る哀哭激情トレモロの奔流が鋭く胸を打ち、全編に充満する張り詰めたような雰囲気がたまらない。
#2は神。
僕もよくお世話になる某有名店ではGorgorothBurzumXasthurなどが引き合いに出されているが、むしろWolves in the Throne Roomブラックメタルパートに近い雰囲気だと思う。
ブラックメタラー的にはヴォーカルで好き嫌いが分かれそうなところではあるが、ヴォーカルの出番は少なめでインストゥルメンタルに近い感じなので、曲が気に入ればおいしく頂けるはず。
2007年結成とはとても思えない深みと魅力のある神盤。
ブラックメタラーならマストバイの一枚。素晴らしい!!!


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