Hammer:「Shoax」


フィンランド産NSプリミティブブラックメタル、2008年1stWerewolf Recordsよりリリース。
「バンド名何にする?」「ハンマーでいんじゃね?」「あー、それでいーや。」みたいなリハの休憩中のわずか5秒足らずのやり取りで決められてそうな投げやりなバンド名がむしろ斬新。その安直直球勝負のバンド名が示しているように、やってることもすこぶるド直球のフィニッシュプリミティブとなっております。


ミドルテンポメイン、ツタツタ2ビート〜ドカドカブラストといったRawなドラムに、ザラザラジリジリしたノイジーなギターで奏でられる適度にメタリックなリフ/寒々しくメロウなトレモロを乗せた、案の定のSatanic Warmaster大好き路線。S.W.2nd3rdの中間みたいな感じだろうか。オールドスクールな趣も感じられる紛うことなきフィンランド産メロウプリミティブが展開されている。
やってること自体は実にシンプルかつオーソドックスだが、荒涼感を伴ったメロウさが素晴らしく、哀愁まみれのトレモロが延々とリフレインされジワジワと心が憂いに満たされていく
またRawな音質、演奏とがあいまって醸し出される雰囲気はまさにUGブラックそのものであり、この手のバンドが好きな人にはもうたまらないんじゃないだろうか。


ヴォーカルはBurzum系ガナリ絶叫。同郷のNekrokrist SSのヤケッパチ感を減退させた感じか。悲壮感をまき散らしながら血管がブチ切れそうなテンションで喚きまくっておりかっこよし。


また#7〜#10には20枚限定の1stデモが収録されている。ライブ音源のような籠った音質で、ベースがやたら効いており、NSらしいパンキッシュなノリが色濃い。また硬くチープなドラムもUG感満載で、荒々しさ突進力ともに二割増し。Evilにガナるヴォーカル、オールドスクールかつうっすらとメロウなギターもかっこよく、こっちの路線もなかなかにいい。


というわけで、地味といえば地味だが確実にメロウブラックファンの心を射止めるであろう逸品
どこを切ってもメロウ、メロウ、メロウであり実にすばらしい内容。とくに胸が締め付けられるような切ないメロディの#2、そこに勢いのついた#3などは個人的ツボど真ん中であり、かなりおいしくいただけた次第。
フィンランド系列のプリミティブが好きな人にはぜひ聞いていただきたい手堅い一枚。
しかし、Nuclear War against Israel(#8)というのっぴきならない曲名はいかがなものか(笑)


・Werewolf Records