Angmar:「Metamorphosis」


フランス産、激情・慟哭のメロディック・ブラックメタルAngmarの2005年1st
Alcestとのスプが予想を上回ってかっこよかったので勇み足で買ったが、期待を裏切らない素晴らしい内容においちゃんホクホク。


フランスらしい儚げなメランコリズムを前面に押し出した激烈メロディックブラックメタル
以前紹介したスプリット同様、ひどく悲しげでたっぷりと憂いを含んだ轟音ブリザードリフが、スウェディッシュか、はたまたノルウェイジャン・トゥルーっぽい暴虐サウンドに乗っかる
なんといっても荘厳で重厚な響きのギターにより奏でられる物悲しいメロディがとにかく素晴らしく胸がかき乱されるようなどうしようもない悲壮感とともにフランス特有の妙にすっきりとした爽やかさ、そしてほんのりと勇壮さすら感じとれる慟哭の美麗メロは見事の一言#5に至ってはArkha Svaを彷彿とさせるほどに悲しくメロディアス。
また、これもフレンチ・ブラックの特色の一つと言えると思うのだが、ベースが非常に雄弁であり、ギターに負けじと絶妙にメロディを絡めてくるのがツボ。
アコギやピアノも交え除情味を撒き散らしながらブラストメインに爆走激走する徹頭徹尾アグレッシブな音像で、しかし曲展開も豊富かつ緩急がキツいのでかなりドラマチックな聴き心地。


ヴォーカルはHoestTaakeを彷彿とさせるヒステリックな喚き絶叫。強烈に憤怒を発散するとてつもなくかっこいいスクリームで、全編欠陥がブチ切れそうなほどハイテンション。悲しげなメロとあいまってひどく心を揺さぶる魂の絶叫が堪能できる。また、#7では怪しげな呻き声も駆使しており、芸達者ぶりがうかがえる。
さらに朗々としたクリーンコーラスが随所で絡むあたりも煽情力を上方修正している。


爆発的なエネルギーをダイレクト脳髄にぶち込むノイジーかつ重厚な音質も実にお見事。プリプリした音源ばかり聴いていると忘れがちなブラックメタルのブルータリティにもうメロメロ。
破壊的なまでにシンバルを打ち鳴らしながら、心地よい疾走〜ズガガガガと重戦車が如きブラストまで駆使する怒涛のドラミングは天晴れだ。


というわけで、とてつもない完成度を誇る素晴らしきかな嘆きのメロディック・ブラックメタル
フランス版Taakeと言ったところだろうか。ベースは至極ストレートな北欧メロディック・ブラックであり、いかにもなブラックらしさに溢れているのだが、そうした荘厳さ・魔的響きもたたえつつ骨の髄までメランコリックなリフの絶えること無い応酬は並のブラックメタルバンドには到底到達できない孤高の高みへと登りつめている。ほんと、すばらしい。
泣き疾走クサメロ爆走のなんと気持ちいいことか。
ノルウェーあたりのメロディアスなトゥルースタイルやフランス産の儚げ・悲しげなブラックメタルArkha SvaAvsolutized...などが好きな人は心の底から「ブラック聞いてて良かった」と思えること請け合い。
てゆーか、ブラック好きならこれ聴いとかないともったいないよ。
ブラックメタルの一つの完成系がここにはある・・・!!


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