Mortifera:「Complainte d'une Agonie Celeste」
Drakkar Productionsの社長にして多くの重要バンドに参加しているSir Noktu Geiistmortt氏(敬礼)と、Amesoeurs、Alcestなどそのたぐいまれなメロディセンス・卓越したオリジナリティで昨今のブラックメタルシーンを席巻している鬼才Neigeによる、フランス産“Necro/Depressive Black Metal”、2003年4曲入りMCD。1000枚限定、Goatwarex、Dying Art Productionsよりリリース。
わたくし大和TROLLが愛してやまない、日本のマニアの間では大人気の名コンビですね。
そんな二人が手を取り合ったMortiferaのデビュー作にあたる今作は、以前紹介した1stと同路線の、頽廃的な憂鬱感を前面に押し出した儚げなプリミティブ・ブラックメタルとなっております。
ジャリジャリと潰れ気味のノイジーなギターで奏でられる、どこか上品で憂いを帯びた切ない系刻みリフ&トレモロ・および儚く寂しげなアコギ、バタバタと忙しないRawなドラム、ハッキリとメロディアスなベース、邪悪にガナる強烈にねちっこい絶叫ヴォーカルと、Noktu・Neige関連にはおなじみのスタイルが貫かれている。
1stに比べよりCelestiaに近い音像で、ブラックメタルらしい荘厳さ・寒々しさが結構感じられる。とはいえ、彼ら(とくにNoktu)独特のメロディセンスはその威力を存分に発揮しており、哀感溢れる悲しげなメロディが激しく琴線に触れる。
ミッドテンポ〜ブラストまで緩急をつけつつ基本プリミティブに疾走する楽曲は、アコギも交え作り出されるアンニュイな空気感がなんとも素晴らしく、しっとり濡れた頽廃的・耽美的な情緒感に満ち満ちている。
また1stではNeigeがヴォーカルだったが、今作ではNoktuが感情の赴くままに悲痛な絶叫を張り上げている。声帯が軋むような生々しい絶叫は非常に痛々しく、好き嫌いの分かれそうな邪悪かつねちっこい声質。
音質は1stとほぼ同じザラザラと粒の粗い感触だが、生っぽい音のドラムが大分前に出てきている点が好印象。
収録曲についてだが、#1はインスト。といっても、ヴォーカルが入ってないだけで中身はブラックメタル。
また#4は1stにも収録されていた曲(#6)の別アレンジ。微妙に短くなっており物足りなさはぬぐい切れ無い(笑)
というわけで、聴いていると胸が張り裂けそうになるお涙頂戴系プリミティブ。
4曲17分弱と収録時間は短いが、CelestiaやPeste Noireなど彼らの絡んだ胸を打つフレンチ・プリミティブが好きなら楽しめるであろう一枚。もちろん、1stを気に入った人には無条件でオススメだ。
攻撃性とか魔族度とかより、流麗で悲哀に満ちたメロディを重視する人にはぜひ聴いていただきたい一枚。
・Goatwarex(labels)
ちなみに、Noktu社長、スネイプ先生にクリソツ。