Svartby:「Kom i Min Kittel」
ペイガン桃源郷ロシアから過去類をみないほどにとてつもない連中がやってきました!!
シンフォニック・フォークロア・トロルメタルSvartbyの2007年1st!!
もうね、ジャケの穏やかさとイモっぽさからは想像もできない、全フィントローラーおよび民謡クサメタラー成仏ものの歴史的会心作です。
ハラショー!!
ハリー・ポッターをディズニー化したような鬼ファンタジックなイントロ#1の時点で多くのフォーク・クサメタラーサブイボたちまくりのことと推測されますが、#2に入るや否や、アコギ、アコーディオン、笛その他さまざまな音色の豪華絢爛シンフォニーで分厚く彩られた超弩級の疾走ポルカメタル。
2nd、およびTrollhammarennEPあたりのFinntrollにTrollfest的前のめり感を足して、ロシアン・シンフォニック/爆走クサメタル化したような雰囲気で、煌びやかでゴージャスなファンタジックアレンジと牧歌的ポルカメタルの両立された音像はかつて経験したことのないほどの凄まじさ。
またフォークメタルにしてはメタル的な部分が意外にも硬派で、ザクザクスラッシーなギターとバシバシドガドガ手数足数の多いドラム(結構速い)が心地よい。とくに、メロディがKey任せでなく、あくまでギターがメタリックにフォークメロ出してるあたり非常に好感色。何気にここはかなり重要だと思う。
そして、下地にブラックメタル由来のスリリングさが見え隠れするあたりは、旧き良きFinntroll1stで感じられた「戦うフォークメタル」感(#6、#9とか顕著)があって実に素晴らしい。この、牧歌的なのにヒロイックという絶妙な雰囲気を出せるバンドがなかなかいないんだよね。
ヴォーカルもWilskaを彷彿とさせるバキバキムシャムシャした野性味あふれる先住民系デスボイス。エスニックな女声コーラスや「ハイ!ハイ!」の掛け声もちょろっと入る。
そうした何から何まで完璧なパフォーマンスによって作り上げられる楽曲は緩急のつけ方が絶妙で、快い疾走感とストップ&ゴーの妙がキラリと光る。「聴かせ方」を心得た曲展開はもはや匠の域。
しっかし、キーボーディストであるGiftsvampの天才的なセンスは驚愕に値する。
いままで自分の中では我らがTrollhorn御大とGrom氏(Orkrist)が二強だったわけだけど、そこに割って入るほどの、溢れんばかりのセンスが全編にわたり炸裂している。コンマ一秒の隙もない。
#5〜#6とか聴くとマジでTrollhornの再来とでもいいたくなる。さらにロシアらしい辺境的情緒感とメロスピ的爽快感が上乗せされた天才的メロセンスは、これ系のファンがほしいもの全部手に入れちゃった当代随一の腕前。Keyインストが幸せで仕方ない。
どの曲も素晴らしいが、キラーチューンは#3、#6、#9かな。この選曲は誰が聴いても満場一致だろう。
涙が出るほどにクサクサ爆走の#3、Finntroll愛+αな#6はSvartby大炸裂。
そして極めつけは「きよしこの夜」→女の悲鳴という素敵過ぎる出だしからポルキッシュに駆け抜ける超絶悶絶ナンバー#9。
もはや敵無しの完成度だ。
というわけで、フォーキッシュ・クサメタル史に名を刻むであろう、バカみたいにクオリティの高い傑作中の大傑作。
なんとゆーか、ドラゴンボールで例えるなら、Finntrollが孫悟空でSvartbyが孫悟飯。ファン心理的にはFinntrollが最強だけど、客観的に見てポテンシャルが高いのはSvartby、みたいな。みんなが待ってた救世主。
Finntroll、Arkonaあたりの民謡クサメタルや、やりすぎ系シンフォメタルが好きなら黙って全員買っとけってなバイブル的一枚。
こーゆーバンドが出てくるからフォークメタルはやめられないよね。やっぱロシアすげぇ。
大袈裟に褒めすぎだろJKとか思ってる人は試しに買ってみなさいって。
そしてSvartbyの偉大さに触れて涙しなさいって。