Spectral:「Stormriders」


独逸産ブラック/ヴァイキング/パワーメタルバンドSpectralの2007年3rd
Black Viking Power。なんだこの胸がときめく文字群は(笑)
そんな安直過ぎるスタイルを自信満々に押し出してくるあたりからも想像がつく通り、Runnning Wildど真ん中の勇壮鬼メロディック系ヴァイキングメタルが展開されている。


ジャーマン臭さ爆発の重厚かつ勇壮なメロディックギター・ブラックメタル的刻みリフを、横ノリ展開も交えながらパワーメタリックに疾駆する無骨なリズムに乗せ、雄々しいデスヴォーカルがブラッキーにスクリーム/グロウルする。書いてしまえば何のことはないオーソドックスなド直球正統派ヴァイキングではあるが、昨今あふれかえる数多のペイガンメタルバンド軍勢に決して埋もれることのない確かな力量しっかりとした芯の強さを感じさせる力強いサウンドが魅力。


やはり特筆すべきは熱き血滾る漢のギタメロだろう。
ツインギターが絡み合うようにして紡ぎだされる一点の曇りもない大海原ガッツポーズ系ヒロイックメロディは、もうこれ以上ないってくらいわかりやすくシンプルであるが、それ故に非常に強力であり、聞く者の心をとらえて離さないインパクトがある。加えてジャーマンらしく適度に湿ったMithotynの哀愁を孕んでいるため、非常に殺傷力が高い。
また、ヴォーカルもありきたりなスタイルではあるが、実力は折り紙つきですんなりとかっこよく、安心して聴くことができる。
そしてそれらを屈強かつクリアな骨太サウンドががっちりどっしり分厚く支える。
ひたすら教科書通りの正攻法でありながら、いや、だからこそ突き抜けてかっこいい。


楽曲はミドル〜アップテンポをメインに時折ブラストなども挟まれる。力強く邁進していく楽曲群は完成度・バランスともに良く、捨て曲など一切なし。
そんな中、聴きどころは何と言っても#4だろう。タイトルもズバリBlack Viking Power。このBattle Metalを彷彿とさせる潔いタイトルはどうだ(笑)この曲に、このバンド、ひいてはヴァイキングメタルの魅力が凝縮されているといっても過言ではないくらい素晴らしい握りこぶしチューン。
「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!」の掛け声と手拍子で始まる酔いどれViking 'n' Rollナンバー#10もいいね。最後はゲップ連発で朗らかに締めくくり(笑)


というわけで、鬼ヒロイックな正統派ヴァイキングの決定版とでも言うべき至高の一枚
MithotynNomans Landといった、ブラックの殺伐感も漂わせつつRunning Wild直系のギターが炸裂する、メロデス/パワーメタリックなヴァイキングメタルが好きであれば全身の血が沸騰するほど悶絶できること請け合い
哀愁の質がモロにジャーマンであり、#5#7などBlack Messiahが好きな人にもウケそうだ。
真の漢メタラーにこそ堪能していただきたい、至福の10曲42分。
Blaaaaaack, Vikiiiiiiiiiiing, Poweeeeeeeeeeeeeeerrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!


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