Kromlek:「Kveldridhur」


ドイツ産、新世代シンフォニック/フォーキッシュ・ヴァイキングメタル、2005年衝撃のデビュー作。
「メンバーのモチベーションに温度差のあるThronarみたいないでたちからして初々しさが感じられる(笑)このバンド、同郷のEquilibriumとタメ張れるくらいインパクトあります。


Finntroll1stが思い出されるハリポタ系インストに続いて始まるのは、ダカダカ力強いバッキング・Running Wild型勇壮ギターリフとファンタジックKey、アコーディオンポルカリズムにのせてメロスピ的に疾駆する魅惑の民謡ヴァイキングワンダーランドOrkristFinntorllMenhirBal-Sagothなどのファンタジー色と壮大なスケール感を備えたキラキラKeyによるシンフォニックアレンジでドラマチックに展開していく。
さまざまな音色を響かせる豪華絢爛なKey、アコーディオンの陽気な牧歌メロ、そして勇ましいヴァイキング/民謡ギターが重なり合う舞踏派ヴァイキングメタルは可愛げな妖精と若きヴァイキング戦士が手を取り合うファンタジーサウンド


ヴォーカルはわりとへヴィな喚き/グロウル。明るすぎる音楽性のせいで気づきにくいかもしれないが、ブラッキーなガラガラ声は地味にかなり邪悪だったりする。引きずるようなグロウルも迫力があり、音質の弱さをいい具合にカバーしている。


楽曲の内容がいいだけに、少し薄っぺらな音質と打ち込み丸出しのドラムが残念。もう少し骨太な音質だったらとも思うが、音圧無い方がが民謡メタルには合っているような気がしないでもない。どっちにしろ、ドラムは人力の方が良かったね。


#2全フォークメタラー即死確実の大虐殺ポルカ・ヴァイキングチューン。メインの民謡ギターといい、中盤のフェアリー大爆走といい、もうニヤニヤが止まらない。8分という長さながら常に聴きどころという劇的な曲。素晴らし過ぎる。
#3は重厚でストロングな曲だが、#2の後では地味に聞こえて仕方ない(笑)しかし後半の展開は熱い!!
#4は勇ましくポルカ大爆発な悶絶チューン。前半はFinntrollのアルバム6曲目くらいにありそうなドタバタ感。中盤エスニックなギターと笛が大乱舞したあと、ザクザクしてイントロのしっとりアコギに戻り終了。いいね。
#5ドラクエの森とかでかかってそうな短いゲーム系インスト。いい感じ。
#6もこれまたのっけから悶絶を誘うポルカ&ヴァイキング。プカプカしたコテコテのRPGに出てくる王国系Keyとダカダカ逞しいバッキングギターのアンバランス感がもう。ヴォーカルいいです。中盤からのBal-Sagothっぽい展開、終盤の泣きシリアス具合もグー。
#7はシリアスで悲壮感漂うアウトロ。映画みたいでスケールでかい。
そして今作最大の山場は最強の隠しトラック#8。哀愁漂うアコギから始まりしっとりフェードアウトするかと思いきや、雄大な山々が目の前に広がるかのようなヒロイック・泣きギターとアコーディオンの悶絶ユニゾン、そしてやりすぎってくらい力一杯に壮大なKeyが被さる鬼インスト。これはヤヴァイ。体に力入り過ぎて足がつりそうなくらい悶絶できる。ウハウハの幕切れ。してやられた。


というわけで、果てしなく悶絶指数の高いポルカローレ・ヴァイキング。これに悶絶しなくて何に悶絶しようというのかってくらいサービスシーンの宝庫。
Finntroll大好きサウンドの疾走ヴァイキングということで、同じくドイツのThiasos Dionysosポルカチューンと同路線といえるが、こちらの方がはるかに器がでかい。
どちらかというとギターはバッキングにまわることが多くKey主導なスタイルであるため、ヴァイキングというよりはシンフォニック/民謡メタルな印象が強いが、時折挟まれる壮大でヒロイックな短音泣きギタメロの威力はなかなか
どの曲も、とにかく一曲の中に詰め込めるだけメロディぶち込みましたってな感じで目まぐるしく展開するため、全く飽きず駆け抜けるように聴き終えてしまう。
Finntrollや楽しげな民謡を取り入れたメロスピっぽいヴァイキングが好きな人力いっぱい楽しめること請け合い。インスト含め30分強と少ないヴォリュームが非常に残念だ。
未聴の人は是非とも聞いて幸せになっていただきたい一枚。


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ちなみに、2ndもすでに入手済みだが、個人的には1stの方がはっちゃけていて好み。