Sacrificia Mortuorum:「Maturum Est」


おフランス産、涙まみれNSペイガン・ブラックメタル、2007年2ndバンド名くらいジャケに記載したらいかがなものかと思う。


ギャリギャリ歪みまくったノイジーギターによるいかにもフレンチらしい儚く耽美的なリフ/トレモロ、ペイガンな哀愁漂う森林系クリーンギターを乗せ、ゆったりミドルテンポからブラストまでドラマチックに展開する湿っぽいプリミティブ・ブラックメタル。
先日紹介したデモ詰め合わせをかなりヒーゼン・ブラック寄りにして哀愁を大幅増量し、さらに鋭さに磨きをかけまくったような作風。毎度例えが貧困で申し訳ないが、CelestiaっぽいプリブラAgallochなどの美しいクリーンギターを乗っけて泣き腫らしたような感じと言えば通じるかな。悲愴感と妙な爽やかさが同居しているメロディは新旧問わずフランス産ブラックのお家芸ですね。


1stは未聴であるためわからないが、デモでは仄かに漂うといった程度だった哀愁に今作では的が絞られており、B級臭さ・UG臭が抜けかなり洗練されたような印象を受ける。焦点が定まった分メロディの突き刺さり具合も相当なものとなっており、順当に進化を遂げているといえるだろう


ヴォーカルはいわゆるBurzum系絶叫。ディストーションが深くかけられ、悲愴感たっぷりにギャアギャアけたたましく泣き叫んでいる。


ギターはチリチリしていてかなりノイジーであるが、音質自体は結構クリアで、抜けて聞こえる高音クリーンギターがなんとも味わい深い。緩急がつけられダイナミックなドラムが躍動感を演出している。


#3の胸を掻きむしるようなリフがツボ。中盤のクリーンギターといい泣き叫ぶようなボーカルといい、この曲は泣ける。#6のどうしようもないほどに打ちひしがれた、でも爽やかなメロディも切ない。寂しげなアコギによるアウトロ#7でしっとりと締め。


フレンチブラックの儚げな情緒感とヒーゼンブラックのメランコリズムが高次元で融合された素晴らしいお涙頂戴プリミティブ・ブラックメタル。
次々と紡ぎだされる哀愁たっぷりのメロディが激しく心の琴線に触れ、なんとも切ない気分にされるが、ヒーゼンらしく癒しも得られるといった様相。もう堪りませぬ(;´Д`)ハァハァ
NS/ペイガンといっても攻撃性とか勇壮さとかはあまりなく、どこまでも憂いに満ちている。いろいろと展開を見せているので聴きどころ満載、涙で涙を洗う一枚。
切ないフレンチ・ブラックや自然系美メロが好きな人かなり楽しめるんじゃないかと思う。買うなら断然デモよりこっち。これはかなりいいっすよ。
是非1stもゲットしたいものだ。