Sacrificia Mortuorum:「Ira Melanox - Dark Hymns Of War」
フランスのNSペイガンブラックメタル、2003年デモ詰め合わせコンピレーションアルバム。
このバンドはGravelandのトリビュートにも参加しており、そのあたりのポリッシュ・ブラックにも影響を受けているようだ。
「Ira Melanox」#1〜#8
2002年EP。
フランス的儚さ/ペイガン的哀愁が漂うリフ、フィンランドっぽいメロウなトレモロに時折アトモスフェリックなKeyやクリーンギターが絡む湿っぽいプリミティブブラックメタル。
哀感溢れるアルペジオから幕を開け、ゆったり横ノリからズパズパ疾走、ブラスト爆走まで緩急をつけ、邪悪な雰囲気を保ちつつ除情味豊かな楽曲をプレイしている。
荒々しいドラムがやたらと前に出ているため音に迫力がある。打ち込みかと思うほど正確かつパワフルであり、ドカドカ豪快に疾駆している。
ヴォーカルはエコーがかけられており、邪悪なワレワレボイスでヒステリックに泣き叫んでいる。嘆くように感情を吐露しており悲壮感たっぷり。
またノイジーに歪められたギターは薄っぺらで録音レベルも小さいためちょっと聴きとりづらいが、寒々しい荒涼感とどうしようもない哀愁・切なさが伴った実にいいメランコリック・メロディを掻き鳴らしている。
特にいいのが#3と#7。#3は哀愁漂うイントロから始まり、泣きの情熱ギターが聴ける。
そしてチャーチオルガン風のKey、とびきりメロウなトレモロに悲痛な絶叫、寂しげなクリーンギターが絡む#7は珠玉の出来。これだけでご飯10杯はいける(笑)
Pagan Reignっぽいセリフが乗っかるノスタルジックなアコースティック・インスト#8も(゜Д゜)ウマー。
「Dark Hymns Of War」#9〜#15
2001年デモ。
こちらは打って変わって神秘的かつRawなノルウェー寄りアトモスフェリック/プリミティブブラックメタル。
よりプリミティブ然りとしたスタイルで、蚊が耳元を飛んでいるようなノイジーさのギター・籠り気味の音質と荘厳かつミステリアスなKeyがUG臭をプンプン放っている。
うっすらとメロウなリフも聞けるが薄味の。叙情的ギタメロはまだ見られないが、曲によってはアコギを絡めたりなどペイガンなアプローチも見受けられる。
Keyはアンビエントブラックとベルギーの暗黒ペイガンTheudhoの中間といったところ。なんとなく得体が知れずミステリアスでなかなかにいい雰囲気を演出している。#14は中期Sighっぽくもある。
まとめ
前半はメロウさと邪悪さの両立したメロウ・プリミティブ、後半は荘厳な環境系プリミティブ。
特に前半はフィニッシュ・プリミティブにフランス的メロディセンスとペイガンな哀愁を足したような高品質UGプリミティブであり、決してクサくなり過ぎずしっかりプリミティブしながら哀愁をまき散らしている。フランスのNSプリミティブといえばKristallnachtだが、こちらは比較的ペイガン色が強くあちらとはベクトルが異なっている。
また後半はDrowning the Lightあたりが好きなら楽しめるはず。
ペイガン/メロウブラックファンはぜひ。