Raate:「Halki Kuolleen Maan...」


フィンランドBurzumish・憂鬱ブラックメタルRaateの、2004年デモテープが2006年にCD化されたもの。
読みは「ローテ」でいいんですかね?怪しげなジャケがなんともいえないUG臭を放っておりグッド。


#1Hvis Lyset Tar Ossそっくりの出だしを聴けばわかる通り、初期〜中期Burzumのような枯れ果てた憂鬱灰色リフ・悲しげなトレモロアンビエントKeyが絡む荒涼感溢れるプリミティブ気味アトモスフェリック・ブラックメタル
スロウ〜ミドルテンポを中心に疾走からブラスト爆走と楽曲に幅があるが、どの曲も暗く沈んだフレーズを淡々と繰り返すスタイルで、リフ、ベースライン、Keyからヴォーカル、音質に至るまでかなり忠実にBurzumの世界観を再現している
しかし、Keyの儚げな旋律はBurzumの精神探究系の雰囲気とは一線を画し、また哀愁漂う民族調のアコギや民族楽器なども用いられており、本家Burzum一回りメランコリックにしたかのような悲壮感漂う作風となっている。本家より湿り気があり、孤独・静寂・寂しさといったものがヒシヒシと伝わってくる実にいい空気感を作り出している


ボーカルもVarg "Count Grishnackh" Vikernes御大に似たヒステリックな悲鳴絶叫スタイルであり、楽曲から滲み出る悲壮感をより一層悲痛なものとしている。叫びより泣きの部分が強調されており、切々と金切り声をあげる様は聴いていて非常にツラそうだ。


音質は適度にRawであり、耳触りのいい寒々しさを演出しつつ鋭さ・厚みの伴った聴きやすい音をしている。これはナイス。
楽曲の長さは4分〜15分とまちまちだが総じて長め(全5曲42分強)。しかしどの曲も印象的なメロディが聴かれるため冗長な印象は受けない。


どこを切ってもBurzumに満ちた素晴らしい一枚。Burzumフォロワーという表現には収まりきらない逸材だ。
よく鬱系だの自殺系だのといったスタイルのバンドがBurzumっぽいといわれてたりするけど、俺的にはそれはちと拡大解釈すぎるというか、Burzum本来の「あの」空気感を持つバンドはそういない気がする。まぁそんなこと言って俺自身SterbendBurzumっぽい」と大手を振って紹介してたりするわけなんだけども(笑)
とにかく、このRaateはその「本家の雰囲気」がかなり的確に再現されており、さらに儚げなKeyや素朴なアコギによる独特の味付けが一味も二味も効いていて、結果独自の世界観を構築することに成功している
日々Burzumのようなバンドを探求しているブルズマーな方は是非お試しあれ。


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