Drowning the Light:「The Fallen Years」


2003年に結成されて以来多数のデモ音源をリリース、MutiilationSatanic WarmasterArkha Svaなんかとスプリット音源も出しているオーストラリアのRawプリミティブ/アトモスフェリック・ブラックメタル
2004年の1st「Drowned」と、2003年のデモ3枚を詰め合わせた「The Longing」とを抱き合わせて2006年にGoatwaRexよりリリースされた豪華二枚組120分強のコンピレーションアルバム。


Satanic Tyrant Werewolf氏に似た雰囲気のAzgorh氏による独りバンドであることや、バンドロゴなどから明らかにSxWx色が感じられ、実際SxWxに近いことをやっている。
ゆったりミドルテンポ〜ツタツタ疾走主体で、メロウなギター、儚くアトモスフェリックなシンセ、何を言っているんだかわからない歪んだ高音ガナリ絶叫が乗っかる寒々しいプリミティブ・ブラックメタル。Satanic Warmasterがアトモスフェリック・ブラックをやっているようなイメージ。


Disc1:1stは案の定くぐもった音質。録音レベルがすこぶる小さく籠りまくりな上、低音が妙にボコボコしているため、自分が普段使っている安物のスピーカーでは満足のいく音量にあげると低音がビリビリしてしまう。バスドラなんかまともに聞こえないし、自室でもヘッドホン(こっちのが音イイ)で聴かなならんという悩ましい音質(笑)しかしながらこの荒く不明瞭なサウンドとモヤがかかったようなシンセの醸し出す地下室的な空気感はUGブラックならでは。好きか嫌いかと言われれば悩むべくもなく当然好きw


SxWxに似てるって書いたけどあちらほど楽曲がコンパクトでなく、わりと長めで淡々としており、爽快な疾走感も多少楽しめるがどっちかっつと同じフレーズの繰り返しにより悦に浸るような、アンビエント系に近い心地よさ。
メロディの寒さメロウさが際立っており、#5#7に代表されるように荘厳だがどこか寂しげで牧歌的なニュアンスのするKeyの自然礼賛系メロディは珠玉の出来。またメロディの主軸であるギターもしっかりと叙情的なトレモロリフを刻んでおり、これがまた最高にカッコよく総じてメロウ度はかなり高い#2#6なんかもうたまらない。


ヴォーカルはXasthurみたいに歪みまくった絶叫・咆哮タイプで、時折泣いているかのような絶叫なども聴かせてくれ楽曲に悲壮感をプラスしている。


Disc2の方が、同じく籠りまくりではあるものの音のバランスは良く、安物スピーカーでもドラムまでしっかり聴こえる。ラジオノイズのようなザーザーした音が終始デカめに入ってはいるが(笑)
こちらはアトモスフェリック度がかなり高く、音質も含めXasthurにより近い音像。絶望色は薄めだがどうしようもないほどにメランコリック。Kristallnachtのキーボード主体の曲をアンビエント寄りにして儚く寂しげにしたイメージと言えば大体合ってるだろう。Keyのみのインスト曲なども数曲あり、比較的ゆったりしている曲が多いので、こーゆーのが好きじゃない人は結構ダレてしまうかもしれない。


マニアの間でしか知られていないんだろーけど、良質のUGプリミティブ。Satanic WarmasterとかKristallnachtといったメロウなプリミティブが好きな人は結構楽しめるだろう。またデモの方は「聴こう!!」と思って聴くより作業用にいい感じ。
しかし、録音時期を考えてもこの音質の悪さは完全に意図的なものではないかと思うんだが、個人的にはもう少しシャッキリした音質だったらよかったかなとも思う。やっていることがなかなかいいだけにちょっと残念。まぁいいっちゃいいけどね。
とにかく、個人的には最も好きなタイプであるため、今後の動向に注目したいバンド。かといって総じてプレス数が少なく他人に買われちゃうと自分とこに流れてこなくなってしまいそうなんで、ひっそりとオススメ(笑)


・Drowning the Light @ Myspace:今年出た4枚(!!)のフルレンスも欲しいところだ