Darkspace : 「Darkspace I」


スイスの暗黒ノイズ・アンビエント・ブラック/ダークメタル、 Darkspace の2006年1st再発盤。オリジナル盤は2003年に500枚限定で発売され、再発されるまでかなりのプレミア音源だった模様。
このバンドを語る上でのポイントはズバリ「黒」。表&裏ジャケットからブックレットまで徹底的に黒一色、演出面でもアーティスティックにこだわり抜かれた一品。


ギターボーカル二人にベースボーカルが一人、ドラムは打ち込み。といってもボーカルはほとんど入らず、入ってもただ叫んでるだけとかナレーション調とかで実質ほとんどインストアルバム。


ノイジーに歪められた荘厳なギターが不穏に鳴り響き、そこに浮遊感漂うスペーシーなアンビエント調キーボが乗っかる極めて暗黒度の高い音楽性。アルバム全体が渾沌としており、徹頭徹尾真っ黒。荘厳な雰囲気は Aborym の4thに近いかな。ギターのリフなんかは結構典型的で、根っこに確かな極寒ノルウェイジャン・ブラック(とくにEmperor)の血脈が感じられる


Keyが非常にミステリアスでどこか得体のしれない空気感を漂わせている。ギターもキーボもメロディの黒さ暗さが相当で、聴いていて不安になる。その上ギターとベースの音圧が凄いもんだから、脳内が圧迫されるような感覚に陥る。また、ザクザクしつつ重苦しいギターは Celtic Frost の最新作を彷彿とさせ実に邪悪。
ドラムは軽めの音質で機械的にリズムを刻んでいる。走るパートとなるとマシンドラムならではの正確無比なドラミングが気持ちいい。
たま〜に聴ける狂乱発狂ボイスも素敵。


この手のバンドとしては結構起伏がはっきりしており、走るとこではかなり豪快に暴れてくれる。とはいえ、例に漏れず似たり寄ったりの曲ばかり集めて7曲76分というボリュームで、十分拷問音源たる資格に値する一品w
ベストチューンは#7かな。聴きこんでくとまた変わりそうだけど、第一印象はこれ。#2#3もアツい。


しかし、まさに Darkspace 。光の一切ない深遠な暗黒空間に放り出され、時に緩やかに、時に激しく奈落の底へ落下していく様な印象。アンビエント・ブラックといえば Burzum だけど、あれはわりと真っ白で何もない虚無空間を彷徨うような感じで、ある意味真逆の作風と言えるかもしれない。


ここまで如実に「暗黒」というものを表現したアルバムってないんじゃないかな。かな〜り中毒性があるね。
これは作業用BGMにもいいかも。中身は極悪なのに聴いてると非常にリラックスできる俺はもうダメかもわからんね(笑)
異様にマニアからの評価が高いのも納得の出来栄え。暗黒好きやアンビエント系フェチはマストの一枚!!