Ulver : 「Nattens Madrigal」


ブラックメタルという枠に収まりきらないノルウェーの天才集団、 Ulver の3rdアルバム!!夜の叙情短詩というタイトル、そしてジャケが秀逸。
作品を出す毎に全く違った音楽性を提示する事で有名な彼等ですが、今作はハーシュノイズたっぷりの凄まじい極悪・Raw・プリミティブ・ブラックメタルの大名盤。ぶっちゃけレビューも今更っすねw


まず、限界までファズ(ってゆーのかな?)がかけられギャリギャリに歪められたロウファイ極まりないギターがすぐ耳を引くわけですが、反面メロディが驚くほどクリアに聞こえます。音の分離が良く各楽器が潰れずに聞こえるため、耳をつんざく強烈に劣悪なサウンドでありつつ、曲の輪郭がかなりはっきりとしていますプリブラファンには堪らない、完全に計算し尽された音の悪さっすね。


そして、単に“極悪”で終わらないのがこのバンドの凄いところ。
凍てつくブリザードリフ、メロウなトレモロギターがとんでもなく(゜∀゜)イイ!!ノルウェーのバンドにしか出せない寒々しさ全開で、 SatyriconTaake 等に匹敵する True ブラックっぷり。言うなら Transilvanian Hanger スタイルの音になると思いますが、その中において頭一つ飛び抜けてメロがいいです
またストトトトトトと単調なほどに走り倒すドラムや、ブーミーでスラッシーなギターなどプリミティブらしくオールドスクールな味わいもタップリ。さらにギターソロなんかもあったりします。


ボーカルは ArcturusBorknagar でもお馴染みの Garm氏ブラックメタル界のベストボーカリストとの呼び声も高いですね。残念ながら今作で彼の美しいクリーンボイスを聞くことは出来ませんが、狂気と悲壮感の同居した素敵なガナリ声を堪能出来ます。ホント、いい声で叫びよるわ〜w


これらの要素が合わさって、あまりにも完成され尽くした “That's Ulver!!”サウンドが展開されています。イメージとしては、よりプリミティブになった Gorgoroth ?まさに極寒のノルウェジアン・プリミティブ、この Mithansropic な雰囲気とメランコリズムの両立具合はまさに天才軍団にしかなしえない芸当、見事の一言


ベストチューンは#3#6#3は凍える吹雪を耳から体感できる超名曲。また#6の、 Mutiilation の4thを彷彿とさせる一種爽やかなメロディは予想外だっただけに心の臓にズキューンでした(笑)


やってることはブラックメタル界随一のクオリティなのに、その凶悪な音質のために聞く人を選ぶアルバム。
ブラックは音質悪ければこそ!!とゆー真性ブラックメタラーにはマストな一枚。
やはりブラックメタルノルウェーなんだなと強く感じた次第。とゆーより、やっぱ有名バンドには有名たる理由が有るんだなと思い知らされたよ(笑)マイナーバンド掘り下げるのは有名どこおさえてからだよなw
ちなみに、彼らは今現在エレクトロ/アンビエントプログレ・ロックみたいなことをしてるらしい。あくまで「みたいな」ね、詳しくは知りませぬ。興味もありませぬ(笑)
とりあえずフォーク・ブラックの名盤らしい1st、純粋なトラッド/フォークらしい2ndは手に入れなあかんね。