Worship : 「Last CD Before Dooms Day」


以前紹介した Mournful Congregation に多大な影響を受けているドイツの陰鬱フューネラル・ドゥームメタルバンド Worship の、1999年デモLPのCD化音源。
ThergothonMournful Congregation と並んで三大フューネラル・ドゥームと言われるバンドの一つ。


遅い、重い、暗いと三拍子そろった究極葬式メタル。
重厚なギターに紡がれる重苦しい鬱メロディ、鈍重なリズム、そして地を這う極低音グロウルによって作り上げられる徹底的なネガティブ・ワールドは他の追随を許さない。


徹頭徹尾ダラダラと繰り出される寂しげなメロディがあまりにも美しく、また時折挿入されるアコギやピアノのなんと悲しいことか。頻繁に現れる物憂げな静寂パートにより加速するメランコリズム。シンプルでありつつダイレクトに絶望感を吐露する退廃的なメロディに涙を禁じえない。
また、効果的に怪しげなSEを用いるなど工夫が凝らされていて荘厳な雰囲気もする。


ヴォーカルはディープな低音咆哮のスタイルだけど、ウィスパーヴォイスや泣いているかのような悲痛な喚き、宗教っぽいクワイアなど実に表現力豊か。しかし方法論云々抜きにしてこれほど真に迫るヴォーカルは非常に稀なんではないだろうか


5曲45分と一曲一曲が長尺で、また常にスローダウンした楽曲のみであるにもかかわらず、素晴らしいメロディと絶妙な曲構成のおかげで全く冗長さや退屈さを感じない完成度の高さには驚くばかりだ
音質も申し分なく、ギターの弦の上を指が移動するときの音(スクラッチっつの?)まで聞こえて、これがまたなんとも味わい深い。


これらすべての要素が合わさって完成する濃厚な負のオーラにまみれた楽曲には一切の救いがなく、何度聞いてもどん底の精神状態に陥ってしまう。レビューを書きながら聞いている今でさえ、胸が締め付けられるような感覚に襲われてひどく苦しい。恐怖を覚えるほどに煽情力が高い。


初聴から結構たつけど、いまだに鬱に沈みこみたいときには Xasthur 並に重宝しているアルバム。ある意味ブラックメタル以上に黒い音源。それはあくまで人間的な「生きた」負の感情に焦点を当てているところによるのだろうが、この強烈な世界観の前にあってはそんな理屈すらチンケに感じられる。
タイトル通り世界の最後を彩るために世に放たれた究極の表現。


メロディの質がかなりいいので、 mithansropy でありつつブラック聞く人には意外と間口が広いと思う。暗黒系が好きな人にはぜひとも聞いていただきたい一枚。


ちなみに、このデモLPが出る前にドラム/ヴォーカルの Fucked-up Mad Max は橋から飛び降りて自殺しています。まさに音源に恥じぬ生き方を貫いたわけですが、自殺はよくないよ(笑)あと、注文付けるとしたら自殺は首吊りのがカッコイi(ry
冗談はさておき、ご冥福をお祈りします。


・MySpace(Unofficial)
バンドは2004年に復活しています。